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酪農・畜産集会「みんなDEミーティング」を開催、危機打開に向けた声明を採択
国内酪農・畜産業の未来を守るために、一人ひとりができることを考え、行動する
東都生協産直生産者団体協議会・髙橋憲二会長
全国の酪農家戸数の推移をスライドで説明
千葉北部酪農農業協同組合で「八千代牛乳」の生産に携わっていた鈴木耕太朗氏
千葉北部酪農農業協同組合 畜産農家
塙(はなわ)健吾氏
JAつべつ 津別町有機酪農研究会会長
石川賢一氏
㈱加須畜産 代表取締役・田口和寿氏
マルイ食品㈱ 鶏肉販売推進課課長
鶴長英俊氏
JAやさと 営業流通部産直課
渡辺泰之氏
(有)匝瑳ジーピーセンター 業務部部長
北川義久氏
声明を読み上げる東都生協・川名明子理事と
足立センター・森本雄馬センター長
東都生協は2023年4月22日、酪農・畜産の史上最悪の危機に「みんなdeミーティング」を会場参加とオンラインを併用したハイブリッドで開催。全国の産直生産者団体・取引先、東都生協組合員・役職員、生協など約290人が参加しました。(会場:中央区京橋・ビジョンセンター東京京橋 4階会議室)
司会は(農)房総食料センター専務理事・田山修司氏、東都生協・石渡由美子副理事長が担当。「日本の酪農・畜産業を未来に引き継ぐために、生産現場の状況を知って一人一人の行動につなげていきたい」と開催趣旨を説明しました。
東都生協・風間理事長が開会あいさつで「50年にわたり、食と農をめぐる課題に生産者と消費者が協同してきたが、消費者もくらしが厳しい中で商品の価格上昇を支えきれず、農政の対応が求められる。生協組合員がこの事態を理解して声を上げていくために、地域や団体を超えて、食と農の在り方への議論を期待したい」と集会への思いを述べました。
始めに東都生協産直生産者団体協議会会長で千葉北部酪農農業協同組合・代表理事組合長の髙橋憲二氏が報告。
「生産現場の状況は厳しく世の中から見放された気分になるが、消費者の応援が励みになる。2008年の食料・飼料危機に東都生協が開催した緊急牛乳集会を機に海外で穀物生産を学んだことで輸入依存への危機感を抱き、翌年から自給飼料生産を始めた。飼料価格は2020年から高止まりし、酪農家個数は近年急激に減少。2022年8月から急激に離農が進み、千葉県だけでも46戸が離農し、当組合でも6人が経営を離脱した。牛肉・豚肉・たまごなどの生産農家も減少し、米や野菜も生産費を価格に転嫁できず、生産現場はこのままでは持たない」と国内農畜産業の置かれた厳しい状況を説明。
「日本は食料自給率38%と食の大半を海外に依存する中、気候変動などで自給率がさらに下がれば、消費者は買いたくても買えない事態になる」として「適正な価格形成が重要で、安全でおいしい食料を安定供給できる仕組み作りを一緒に考えたい。生産者、消費者が理解し合い、助け合ってこの状況を乗り越えていきたい」と語りました。
続いて全国の産地から生産現場の状況をリレー報告。
千葉北部酪農農業協同組合で「八千代牛乳」の生産に関わっていた鈴木耕太朗氏は「2019年に新規就農したが、台風15号の被災やコロナ禍、ウクライナ侵攻などが重なり、設備の更新や飼料用米への転換など努力を続けてきた。しかしコスト上昇や販売価格の下落などで経営が立ちゆかず、2022年11月に廃業を決断した。今この瞬間にも、先の見えない思いで頑張っている生産者がいると思い参加した。課題を共有して乗り越えていければと思う」と話しました。
千葉北部酪農農業協同組合で産直牛肉「八千代黒牛」を生産する塙(はなわ)健吾氏は、「畜産経営は大変厳しい状況で、要因は飼料と元牛の導入価格の高騰。配合飼料と粗飼料は海外からの輸入に依存し、天候不順による不作や世界情勢に大きく影響を受ける。またこの間の急激な円安は、さらに経営を圧迫している。肥育素牛を提供する酪農家の減少で子牛価格が高騰するなど生産費が大幅に上昇する一方、物価高による消費の落ち込みで相場が低迷し、生産費の上昇分を販売価格で補えない状況にある。畜産経営は食べてくれる人がいなければ成り立たない。皆さまに選んでいただける牛肉生産に努めるので、消費を通じて支援していただきたい」と訴えました。
北海道で「オーガニック牛乳」を生産するJAつべつ 津別町有機酪農研究会会長・石川賢一氏は、「私たちのオーガニック牛乳は飼料の8割を自給しているが、残り2割の輸入飼料が高騰し、仔牛の販売価格が下落。近年は畜産クラスター事業で生産基盤強化のため多額の投資を行う中で経営が圧迫されている」と現状を報告。
石川氏は「政府からは経産牛1頭当たり飼料高騰分が補填(ほてん)されるが、私たちも有機栽培の子実(しじつ)トウモロコシなど自給飼料100%へ向けて取り組んでいる。総耕地面積の10%、40万ヘクタールに及ぶ耕作放棄地での飼料生産や畜産農家と連携などのシステムの構築が求められる」との中長期ビジョンを示し「厳しい状況ながら国産畜産品を支援いただくことが私たちの糧となる。畜産危機が食料危機につながらないように未来を切り開いていきたい」としました。
埼玉・群馬で飼料用米を給餌した産直豚肉「めぐみ米豚」を生産する㈱加須畜産 代表取締役・田口和寿氏は養豚の立場から現状を説明。「国産と輸入は50%ずつの割合が20年以上続いてきたが、近年は輸入が上回ってきた。20年前の1万戸から3,500戸まで減少。廃業も加速する中、豚熱(ぶたねつ)の感染拡大で淘汰(とうた)せざるを得ない状況にある。一番のコストは飼料。2~3年前は売り上げの45%を飼料代が占めていたが、現在では65%まで上昇している。電気代も2倍以上、施設の建築コストも暴騰。さらに養豚農家は減るのは間違いない」と現状を報告しました。
田口氏は同産地の経営努力として、節電と並んで飼料の国産飼料用米比率の10%から30%への引き上げ、「米の精」の3%配合、近隣農家との子実トウモロコシによる耕畜連携の取り組みを紹介。「食べていただけるのが一番の支援」として、「ぜひ『めぐみ米豚』を選んでいただきたい。コロナ禍で休止していた交流も再開していきたい」と語りました。
鹿児島県で合成抗菌剤や抗生物質不使用の産直鶏肉「南国元気鶏」などを生産するマルイ食品㈱ 鶏肉販売部 鶏肉販売推進課・課長の鶴長英俊氏は「鳥インフルエンザの全国流行により1,700万羽を超える鶏の命が殺処分で失われた。当社の産地でも2022年11月以来、全生産羽数の45%となる南国元気鶏4万羽・採卵鶏128万羽が殺処分となった。防疫対策を万全にしても『次の日、鶏舎の扉を開けるのが怖い』との声が出るほど、被害を防ぎきれない状況にある。引き続き産地に関心を持ち、国産畜産物を利用いただきたい」と訴えました。
茨城県で「産直平飼いたまご」を生産するJAやさと営業流通部産直課の渡辺泰之氏は「昔から鶏卵は価格の優等生とされてきたが、価格高騰が連日報じられている。皆さまの体に入る安全・安心な卵を生産するため、毎日、健康な鶏を育てる飼養環境づくりに取り組んでいる。登録商品など組合員に安定して購入いただき、『おいしかった』と言っていただけることが生産者のやる気につながる」と話しました。
千葉県で「産直たまご」を生産する(有)匝瑳ジーピーセンター業務部部長・北川義久氏は「ウクライナ情勢などに伴う相場、為替の問題で飼料価格が約2倍に急騰。昨年10月から発生した鳥インフルエンザによる品薄で鶏卵相場が上がり、量販店の棚から卵が消えた。鳥インフルエンザの発生で、日本から鶏卵が無くなり相場が上がったので、飼料代が高くてもしのげた。しかし殻付き冷蔵卵がブラジルから、液卵がタイから輸入され、国内生産体制が元に戻り相場が下がれば、高くても買い支えていた組合員が市販品に流れるのではないか危惧している。卵を食べて、購入していただけることが、生産者の励みになる」と話しました。
会場からの発言では、参加した他の産直産地・メーカーから「循環型農業による農産物の安定供給のためには、安く買いたたかれることのない『豊作を喜べる仕組み』をみんなで作るべき」「東都生協商品には生産努力に裏付けられた市販品とは違う価値があり、買い支えてほしい」との訴えがありました。
組合員からは「利用を通じて生産者を支えたい。一人でも多くの人に、産地の状況・取り組みや生産者の皆さんの思いを伝えていきたい」「生産者の離農・廃業はすごく残念。こうした事態を防ぐために、東都生協には組合員を巻き込んで行動してほしい」、職員からは「組合員との日頃の接点を通じて、生産現場の実態を理解・応援いただけるように発信していきたい」との発言がありました。
続いて、酪農・畜産の危機打開に向けた緊急対策や安定経営を維持できる制度づくり、食料自給率向上への抜本的対策など内外への行動を盛り込んだ酪農・畜産経営の危機打開に向けた声明を読み上げ、参加者の拍手により採択されました。
最後に東都生協・野地浩和専務理事が「本当に深刻になるのは5年後・10年後で、いま行動を起こすことが重要。今の危機は生産者・組合員の産直の努力だけでは解決できない。私たちの選択が食の未来を創る。生産現場の現状を知り、周りの方と一緒に考え、さまざまな声を聞くことが大事。地域でもこうした場を設け、広げていきたい」と締めくくりました。
今回の集会を受け、東都生協では今後も引き続き、地域で日本の酪農・畜産が置かれている状況や危機打開に向けた取り組みを共有し、私たちの食とくらしを支える酪農・畜産の未来を守るために行動していきます。
東都生協の「酪農・畜産経営の危機打開に向けた声明」全文(PDF)はこちら
私たち東都生活協同組合は、東京都を中心に25万余の組合員が安全・安心な食料を安定的に手にするために、全国の農畜水産業者や製造者と共に事業と運動に取り組む消費生活協同組合です。
気候変動、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵略および急激な円安などで生産資材の価格が高止まりする一方、生産費の上昇分を価格転嫁しきれず離農・廃業に追い込まれるなど、日本の酪農・畜産は史上最悪の危機に直面しています。国は大量の乳製品を輸入し続けながら国内には減産を要請し、生産現場では牛の殺処分や生乳廃棄まで起きています。
このままでは、消費者は国産の牛乳や畜産物を安心して手に入れることができません。自給飼料への転換など酪農・畜産生産者の努力と消費者の理解と支援による自助・共助だけでは、この危機を乗り越えるのは困難です。私たちは、国と自治体に対し生産者への実効性ある支援対策の一刻も早い実施と、持続可能な国内農畜産業の確立および食料安全保障体制の強化を要請します。
「本物の安全でおいしい牛乳を安く飲みたい」「本物の牛乳を生産して酪農の未来を守りたい」という消費者・生産者の共通の願いを原点に、私たちは50年にわたって生産と消費の持続的な関係を築いてきました。食料危機と農業危機が同時に到来した今、いのちとくらしを支える食と農を次世代に継承していくために、私たちは生産者とのつながりをさらに強め、協同して以下の通り行動します。
1.酪農・畜産の危機打開に向けて支援募金に取り組み、国に緊急対策の拡充を強く求めます
国際的な飼料価格・原油価格などの高騰による生産費の上昇により、国内の酪農・畜産生産者は所得が激減し、一刻の猶予も許されない経営危機に直面しています。私たちは安全・安心な畜産物を生産する産直産地の厳しい状況に心を寄せて、支援募金に取り組みます。国内酪農・畜産の持続的発展と国産畜産物の安定供給に向けて、価格が高止まりした場合に機能しない配合飼料価格安定制度の抜本的な見直しや高騰分の直接補填など、即効性のある緊急支援対策を直ちに講じるように国に強く求めます。
2.国産畜産物の安定供給に向けて、生産者が安定経営を維持できる制度づくりを国に求めます
生産者は飼料など生産資材、物流費・人件費の高騰を価格転嫁しきれない状況に直面し、今後も高止まりが継続するものと考えられます。国内酪農・畜産の持続的発展のために、生産費の価格転嫁など、再生産に配慮した適正な価格形成の仕組みを構築する必要があります。乳製品の低関税輸入枠による義務のない全量輸入を停止し、将来にわたって国産畜産物の安定供給を図るために、国内酪農・畜産生産者が安定経営を維持でき、安心して生産できる政策への転換を国に求めます。
3.食を支える生産現場の実情を学び伝え、国には国民理解の醸成に向けた施策を求めます
今の酪農・畜産経営をめぐる情勢は、生産者・消費者相互の努力だけでは解決が図れません。食と農が危機に直面する今、食料安全保障を支える国内酪農・畜産を守ることは国民全体の課題です。私たちは産直産地の声を聞き、生産現場の実情を学び、伝え合い、情報の拡散に取り組みます。国には生産と消費の両面から国民の声を聴き、私たちの食とくらしを支える国内酪農・畜産と国産畜産物に対する国民の理解醸成に向けた取り組みの推進を求めます。
4.国産畜産物を食べて応援し、国には食料自給率向上への抜本的対策を求めます
食料安全保障の観点から、国内で畜産物を生産することは、輸送障害や他国との競合などのリスクが低く、より安定的で持続的な供給が期待できます。私たちは生産現場の窮状を消費者・組合員に広く伝えて、国産畜産物の利用促進を通じて国内酪農・畜産の未来を支えます。国には際限のない市場開放と輸入依存から決別し、食料自給率の引き上げを最優先課題に位置付け、国産畜産物の消費拡大の推進、耕畜連携や飼料作物の生産拡大など、飼料自給率・畜産物自給率の向上に向けた施策の確立を求めます。
酪農・畜産の危機に
「みんなdeミーティング」
参加者一同
食料・農業・農村基本法改正に関する意見を国に提出
持続可能な社会の実現と食料安全保障の確立に向けて
消費者の立場から東都生協・風間理事長が発言
2023年3月29日午後、農林水産省にて食料・農業・農村基本法検証・見直し検討に関わる意見交換会が開催され、東都生協から風間理事長など役職員が出席。食料・農業・農村基本法見直しへの意見(PDF)を提出しました。
同法は理念法ともいわれ、農政の基本理念や政策の方向性を示すものです。
今回の意見交換会は全国有機農業推進協議会などの呼び掛けで開催され、全国の生活協同組合や有機農畜産業・自然栽培団体、環境保全団体、学者・研究者などオンラインを含め約180人が出席し、19団体が同法見直しへの提言を行いました。
はじめに同会理事長で東都生協の産直産地・(農)さんぶ野菜ネットワークを設立した下山久信氏があいさつ。同法改正案の2024年通常国会提案に向けた、5年後、10年後の日本農業の再生に関わる内容として、出席者に活発な論議を求めました。
農林水産省から同法検証・見直しに関する検討状況が説明された後、出席した団体・個人より、有機農業・自然栽培など持続可能な農業の推進、生物多様性の保全、種と苗の保全と育成、食育の推進など多角的な観点から、同法見直しに当たっての提言が行われました。
東都生協は消費者の立場から、風間与司治理事長が発言。「50年にわたり生産者と消費者が提携する産直を中心に事業・運動を展開してきたが、昨今の農業をめぐる情勢は、生産者の努力と消費者の理解・支えでは解決できない」とし、食料安全保障の観点から食料自給に向けた国の支援制度、生産・流通・販売・消費のサプライチェーンで再生産を確保しうる適正な価格形成の仕組み作りなどを求めました。
司会の一般社団法人フードトラストプロジェクト代表理事・徳江倫明氏は「誰のため基本法かという視点が必要。1961年の農業基本法は農家を、1999年の食料・農業・農村基本法はサプライチェーンにその対象を広げたが、今回の見直しは『国民のための基本法』として打ち出してほしい」と締めくくりました。
東都生協は、国民の命と暮らしに必要不可欠な食料を守り、食を支える農業の持続的な発展を目指す立場から、同法見直し論議の動向を今後も注視し、持続可能な社会の実現と食料安全保障の確立に向けて、国への働き掛けを強めてまいります。
東都生協の「食料・農業・農村基本法見直しへの意見」全文(PDF)はこちら
食料・農業・農村政策審議会 基本法検証部会 部会長 中嶋 康博 様
理事長 風間 与司治
私たち東都生活協同組合は、東京都を中心に25万余の組合員が安全・安心な食料を安定的に手にするために、全国の生産者と共に事業と運動に取り組む消費生活協同組合です。
私たちは1973年の設立以来、生産者と消費者が対等の立場に立ち、生産・流通・消費の在り方を問い直す産地直結を事業と運動の基軸に据えてきました。持続可能な社会を目指して、日本の農業を守り、食料自給率の向上を図ることを目標に掲げ、食の未来づくりを推進しています。日本の農業は、国民の命の源です。私たちに安全・安心な食料を供給する国内農畜水産業は、国土・環境・生物多様性の保全、水源の涵養など多面的な機能を有し、地域経済・社会の維持・発展にも重要な役割を果たしています。
長引くコロナ禍、ロシアのウクライナ侵略および急激な円安により、飼料、肥料、燃料をはじめ営農に欠かすことのできない生産資材が入手困難となる深刻な状況に陥り、食料のみならず生産資材、原料などの多くを海外に依存する日本の脆弱な実態が露呈しました。また、食品の安全、品質向上、適正価格、安定供給、環境保全など、食料・農業への消費者の切実な願いを受け止めて生産を続ける全国の産地においても、後継者育成も含めた持続的な地域農業の発展への懸命な努力にもかかわらず、耕作放棄地の増加や高齢化・人口減少の進行による農村社会の崩壊は止まらず、国内農畜産業は厳しい状況に追い込まれています。
これらの問題は消費者にとっても他人事ではなく、食料の安定供給に向けた国の速やかな支援が必要不可欠だと考えます。食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、健康で充実した生活の基礎として重要です。国内の農業生産の増大を図り、全ての国民が、将来にわたって、安全・安心で良質な食料を適正な価格で入手できるようにすることは国の基本的な責務です。
全ての国民への食料の安定供給の確保と食料安全保障の確立に向けて、私たちは持続可能な国内農畜水産業の確立と日本の農業の再生を心から願うものです。私たちは、国民の命と暮らしに必要不可欠な食料と、それを支える農業の持続的な発展を目指す立場から、現在見直しの論議が進められている「食料・農業・農村基本法」について、下記の意見を提出します。
記
1.安全保障の観点からの食料安定供給の確保と食料自給率向上に向けた対策強化
食料自給率・食料自給力の問題は、国民の命と暮らしに直結します。昨今の地政学的なリスクを踏まえるならば、担い手や農地を巡る諸課題のみならず、食料生産に関わる資源・エネルギーを含めた食料の自給を国の安全保障の課題としてとらえることが重要になっています。食料自給率目標を長らく達成できなかった原因も厳しく検証しつつ、確実に達成可能な目標を掲げ、そのための具体的な施策を明確にしてください。
2.生産・流通・販売・消費のサプライチェーンでの再生産を確保しうる適正な仕組み作り
国内生産者の後継者・担い手不足は、市場価格の変動によって生産者の農業所得が安定しないことが大きな理由として挙げられます。とりわけ、生産者は昨今の飼料や肥料、資材、物流費や人件費の高騰を農畜産物価格に転嫁しきれない状況に直面しています。安全・安心、かつ環境に配慮した生産方法で生産している農畜産物に対して、生産者が再生産可能な適正な価格形成と、安定供給が可能な流通の仕組みを求めます。
3.生産者の農業所得の向上と環境に配慮した持続可能な農業の推進
環境に配慮した持続可能な農業生産の推進は、人や自然に優しく、地球環境と共存し、生物多様性を豊かにします。また、農業の発展は、農村やその景観が持つ人々への癒やしの機能を高めます。耕作放棄地の解消を図る施策、農業支援・補助金の拡充、再生産可能な価格保障・所得補償制度の確立を通じて、日本の環境を守り、気候風土を生かした農業生産を推進し、生産者・流通加工業者・消費者の皆にとって幸せな、持続可能な生産・供給体制の確立を示してください。
4.国民の命、子どもたちの命を守る「未来につながる食」に向けた仕組み作り
次世代を担う子どもたちのために、食の安全・安心を確保し、健やかな食生活が送れるようにすることは、私たちの共通の願いです。そのためには、全ての農産物を環境保全型または有機農産物に転換していくことが重要であり、みどりの食料戦略システムの推進が必要です。そうした農産物の持続的な生産・消費の手段として、公共調達が最も有効です。全国で有機農産物による学校給食が実現できるように、行政と生産者、関係団体が連携した仕組み作りを求めます。
5.食の安全・安心の確保に向けた施策の充実強化
食品の安全・安心は、私たちにとって大きな願いです。食品の安全を守る仕組みとして、生産から消費にわたって問題発生を未然に防止し、悪影響の起きる可能性を低減するためのリスク分析の手法全体を、より充実させてください。食品の安全性を確保するための施策に関する積極的な情報開示・コミュニケーションを図るとともに、リスクを低減するために適切な政策・措置を科学的に検討・実施するリスク管理において、消費者の意見が施策に反映されることを求めます。
6.脱炭素に向けた脱原発・再生可能エネルギーの推進と国内エネルギー自給率の向上
食料の自給と併せて、エネルギーの自給も国民の命と暮らしを守る上で欠かせない課題です。脱炭素社会の実現に向けた、農業や農村のグランドデザインが求められます。脱炭素に向けた農地土壌への炭素貯留や生物多様性を促進する有機農業の推進、エネルギー生産、地域主導の再生可能エネルギーの活用促進・振興、環境保全、生物多様性保全、地球温暖化防止などの施策を進めるための根拠規定を示してください。
7.輸入原料・青果物の残留農薬基準の見直しと表示の徹底
輸入自由化、関税撤廃による日本の農業への打撃は計り知れません。食料の安全性を確保するための規定、遺伝子組換えやゲノム編集食品への規制と表示の義務付け、成長ホルモン剤、成長促進剤投与の外国産牛肉の輸入規制、客観的なデータ・評価に基づく輸入農産物の残留基準値の見直し、食の安全に関する積極的な情報開示の規定追加を求めます。
食料危機と深刻な農業危機が同時に到来し、食と農の価値がさらに評価される時代が来ています。私たちは、将来にわたって食の安全・安心を確保し、食の危機から子どもたちの未来を守るために、今回の「食料・農業・農村基本法」の見直しに当たっては、輸入に依存せず、国産資源で安全で高品質な食料供給を可能とする循環型農業推進の方向性が示されることを強く希望します。
「ヤングケアラー」について学ぶオンライン企画を開催
一般社団法人ケアラーワークス・伊藤耕介氏を講師に「ヤングケアラー」の基礎知識や実態などを学びました
東都生協は2023年2月24日、「ヤングケアラー」について学ぶオンライン企画を開催しました。
学校のクラスに一人は存在するといわれる「ヤングケアラー」。ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものこと。責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうことがあります。
テレビCMにも取り上げられ、誰もがなんとなく耳にするようになりましたが、その実情や、どんな形で私たち周りの大人が手助けできるのかについて学ぶ機会として企画しました。
講師には、一般社団法人ケアラーワークス副代表理事の伊藤耕介氏をお招きして、「私もヤングケアラーでした」とご自身の経験をはじめ、ヤングケアラーの実態、支援の状況、情報提供や支援体制についてお話しいただきました。
講義の中では、友達同士の二人の高校生(一人は普通の家庭、一人はヤングケアラー)の生活を時系列で並べることで、その実態や生活の違いが分かりやすく表現された動画も視聴しました。
私たち周りの大人が実情を知り、困難を抱え孤立している子どもたちにまずは気付くことの必要性が、改めて感じられた学習会となりました。
講師の一般社団法人ケアラーワークス 伊藤耕介副代表理事
参加者された方からは、
- ケアの負担を少なくするだけでなく、学習面や旅行など、さまざまな経験ができるような支援もあると良いと感じました
- 私にもできることとして、もし気付いたら、民生委員や学校などに相談したいと思います
- 「ヤングケアラー=助けてあげなければいけない子ども」と勝手にレッテルを張るのではなく、困ったときに周りの人に助けを求められる関係が、身近なところにいくつかあると良いなと改めて思いました
――など、さまざまなご意見が寄せられました。
第10回商品ふかぼり交流会を開催しました
各メーカーのこだわりと商品愛が詰まったオンライン学習会
Aチームは「桜餅」と「マヨネーズおかき」をふかぼり
Bチームは「北海道産小粒納豆(たれ・からし付き)」と「有機和紅茶瀬戸谷もみじ」をふかぼり
2023年2月24日、東都生協は第10回商品ふかぼり交流会をオンライン(Zoom)で開催。
組合員18人が2チームに分かれ、Aチームは「マヨネーズおかき」の㈱協和と「桜餅」の㈱東京コールドチェーン・岩手阿部製粉㈱、Bチームは「北海道産小粒納豆(たれ・からし付き)」の㈱カジノヤと「有機和紅茶瀬戸谷もみじ」の(有)人と農・自然をつなぐ会の担当者の方とオンラインで交流しました。
「だんらん」マークで商品案内されている㈱協和は、生協専門の無店舗加工食品メーカー。東都生協の厳しい基準と、伝統的な製法を守りながら、おいしさと食べやすさを工夫していることについて伺いました。
㈱東京コールドチェーンと岩手阿部製粉㈱では、原材料を全て国産品にこだわり、「桜餅」の塩漬け桜葉も契約農家さんの手摘みによる収穫が徹底されていることに感動しました。ひな祭りに向けてタイムリーな商品の案内でメーカーさんの説明にも力が入りました。
㈱カジノヤは、納豆一筋77年。安全・安心な原材料で、時間をかけてふっくらおいしい納豆を製造。20分常温に置いてから食べると良いことや、混ぜる回数の実験結果などを楽しく伺いました。
(有)人と農・自然をつなぐ会は、1976年から無農薬、無化学肥料でお茶を作り続けています。栽培から加工、包装、出荷までご家族で一貫経営をし、近隣10軒の生産者とも協力。参加者から「プレゼントにもいいね」との意見も。
短時間でしたが、各メーカーさんのこだわりと商品愛をたっぷり伺うことができ、今後の商品利用につながる貴重な機会となりました。
2022年12月のNO₂測定結果
東都生協組合員による二酸化窒素(NO₂)測定活動
東都生協(コープ)では、組合員が空気中の二酸化窒素(NO₂)測定活動に取り組んでいます。
年に2回、身近な同じ場所で測定をし、空気の汚れを知ることで、きれいな空気を取り戻すにはどうすればよいか考えるきっかけにしていただくことなどを目的としています。
■2022年12月の測定結果は以下の通りでした
1.測定日の気象状況
①測定日時
・2022年12月1日(木) 午後6時 ~ 2022年12月2日(金) 午後6時
※前後2時間を有効とする
②天候
・12月1日(曇り)平均風速:2.1m/秒、12月2日(曇りのち晴)平均風速:2.5m/秒
・参加人数:197人
・測定カプセル配付数:218個
・カプセルの返却数:205個(回収率:94.0%)
・有効測定数:164個(有効回収率:75.29%)
今回測定したNO₂(二酸化窒素)の全体平均濃度は、0.015ppmでした。過去5年間に測定した12月の平均濃度(0.023ppm)と比べて低い値でした。
都内の大気汚染常設監視測定局が測定したNO₂平均濃度は、道路沿いが0.018ppm、住宅地は0.014ppmでした。なお、環境省が定めたNO₂の基準値は「0.040~0.060ppmのゾーン、またはそれ以下であること」とされています。
4.地域別の測定結果 ( )内は前年値・全体:0.015(0.024)、東京23区:0.016(0.025)
・東京多摩地域:0.013(0.023)、神奈川県:0.016(0.023)
人の健康に悪影響を与える汚染物質として、イオウ酸化物(SOx)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素、浮遊粒子状物質(SPM、PM2.5)などが知られています。これらの汚染物質は主に自動車から出る排気ガスが原因です。
東都生協は、組合員が身近な所の空気の汚れを実際に測って確かめ、きれいな空気を取り戻すにはどうすれば良いかを考えていただくことなどを目的に、1988年から二酸化窒素(NO₂)測定活動を実施しています。
測定結果は「大気汚染測定運動東京連絡会」(※)に提供しています。同連絡会では、生協の他、さまざまな団体から集めた測定結果を基に、大気汚染の改善を求めて運動を展開。毎回の地道な測定活動の積み重ねが、こうした大きな運動を支えています。
2023年度地域コーディネーター募集説明会
組合員の「やりたい」を応援する地域コーディネーターを公募
組合員活動の地域割り地図
地域コーディネーターは、9つあるそれぞれの地域で組合員活動への参加を広げるため、組合員の「やりたい」を応援する人です。
組合員や地域社会のニーズをもとに、東都生協の魅力が伝わるイベントの開催や情報発信などを行い、組合員活動を活発にしていく役割を担っています。
まずは「話を聞いてみたい」という組合員に向けて12月~1月、オンラインと集会型の計5回の説明会を開催しました。
地域コーディネーターの活動動画の視聴後は、説明会資料を基に、「生協とは」「東都生協とは」「地域コーディネーターについて」と今後の流れを説明。
話をうなずきながら聞く方、一生懸命メモを取る方...皆さん真剣そのもの。「地域委員会は1年目の地域コーディネーターだけで構成されることもあるの?」「年齢制限は?」「パソコンスキルは?」などの質問も寄せられました。
説明を聞いて活動してみたいという人は応募用紙を提出、書類選考後に面接・選考に進みます。
昨年までの郵送による応募用紙の提出から、今年度はデータ送信での応募用紙提出としました。郵送での時間短縮や最近の傾向に合わせた試みです。
4月からの活動開始に向け、3月から研修が始まります。
9つの地域委員会の仲間と協力し、総代会で確認された方針を基に、商品学習会や平和・環境・くらし・食と農・福祉をテーマにした企画などを考えて開催します。また地域の団体のサポー
トも大切な役割。地域コーディネーターの活躍が期待されます。
大変だけど楽しい!! あわじ玉のマスクチャームづくり
小平東部ブロック「水引を使った講習会」第2弾
2022年12月16日、小平東部ブロックは水引を使った講習会の第2弾を開催。
講師は東都人材バンクの赤沢和枝さん。まずは基本中の基本「あわじ結び」のおさらいです。
「これができないと先には進めない。よーく頭に畳み込んで、さぁリズミカルに手を動かしてス~イスイ」...「そうは問屋が卸さない」...「クルクル回していると何やらおかしいゾ??」 そのたびに先生が間違っている箇所を見つけては、優しく指導してくれました。
「簡単なようで難しい」「楽しいけれどこれは大変な作業」「頭の体操になる」ー完成した小さなあわじ玉に飾りを付けて、みんなで見せ合いっこ。これでマスク生活も楽しくなるね!! あっという間の楽しい時間。第3弾もできたらいいですね。
平和を願って!ハンドベル演奏と「平和の鐘」
第7地域委員会にて国際基督教大学ハンドベル部(ICU Bell Peppers)の演奏会&国連に「平和の鐘」を贈った中川千代治さんのお話の朗読会
「Bell Pepper」=ピーマンです(o^―^o)
♪爽やかな演奏に心が洗われ、癒やされました♪ とてもステキで涙が出ました♪ 多彩な奏法の説明も興味深かった♪ ブラボー!
第7地域委員会は2022年12月17日、「平和を願って! ハンドベル演奏と『平和の鐘』」を開催しました。
世界中で親しまれている「It's a Small World(小さな世界)」から始まったハンドベル演奏。澄んだ音色が響きます。
演奏は、国際基督教大学ハンドベル部「ICU Bell Peppers」の皆さん。目の前で繰り広げられる機敏なベルさばき、絶妙な連携で紡がれる美しいメロディに魅了されました。
後半は、ニューヨークの国際連合本部に「平和の鐘」を寄贈した中川千代治さん(元宇和島市長)のお話を朗読。「鐘の音」をテーマに、平和への思いを新たにしたいと企画しました。ただ一つの小さな世界の平和を願って。
一人で悩むより みんなで学ぼう 介護のお話
鶴川ブロック「介護学習会」
2022年12月8日、鶴川ブロックは介護に関する学習会を開催。
前半は、ライフプランアドバイザー・北尾良江講師による「介護保険の制度と在宅介護で使えるサービスについて」。
親のことだけでなく、自分も高齢期をどこでどんなふうに過ごしたいかを家族で共有することが大切であり、「どんな事業•サービスが紹介されるか、地域包括センターを気軽に訪ねてみるのが良い」とのことでした。
後半は、ライフプランアドバイザー金田和子講師が町田市の介護施設や有料老人ホームの具体例を挙げながら、施設の種類や特徴、入所要件のほか、施設の情報収集の仕方や確認ポイントも紹介。とても学びの多い学習会でした。
時として孤独に陥りやすい介護ですが、みんなで一緒に学んだこの経験は、いざというときに慌てず生かせそうです。
第1回総代会議 ~方針の定期点検と「組合員の新たな活動スタイル案」の論議を実施~
組合員から選出された「総代」が出席し、1回目の会議を開催
1月25日「シアター1010」会場の様子
第48回総代会で決議された方針に基づく活動・事業の中間報告と、次年度の方針づくりに向けての論議を行う総代会議が、2022年11月25日から5日間の日程で、集会型、オンラインと合計10回、開催されました。
今年度は、組合員の活動スタイルについての見直し論議を進めることが総代会で確認されたことを受け、この間ブロック委員会などの活動団体や総代(昨年度・今年度)へ説明会を開催し、意見交換会を行ってきました。
組合員活動の参加をより豊かに広げていくために、目指す姿を「興味関心のあることでゆるやかにつながり、地域と組合員のくらしにに寄り添う活動」として、いただいたご意見を踏まえて検討を重ね、課題解決のための新しいスタイルとして提案しました。
概要は、現在の活動の一本化と1人から活動できる新しいスタイルへの変更です。そのためのブロック委員会規約の改正や役割などの説明と意見交換を行いました。
「活動イメージが湧かない」「実際にやってみて、修正していけばよいのでは」「なぜブロック委員会をやめないといけないのか」「ものづくりが得意。そういう人ができることがあるのか」など、総代の立場や活動経験によって、さまざまな質問・意見が出ました。
総代の皆さんからいただいた意見を反映し、今後の総代会議へ提案していきます。
「第1次議案書」(2月6日~10日配付)で皆さんからの声も集めています。