(天然酵母パン研究会 中村謙介さん)
給食パンの製造が家業でしたが、これを継ごうとは考えていなかった私は、別の道を目指してドイツに留学した際、すごくおいしいパンに出合いました。ドイツの街の小さなパン屋さんは、それぞれに味が違うのです。帰国後、市販のパンが軟らかいだけで添加物の化学的な味しかしないことにショックを受け、一方でイーストを使わない天然酵母のパンの存在も知りました。
「天然酵母とは何?」と(有)ホシノ天然酵母パン種に直接電話して天然酵母を手に入れ、実家のパン職人に焼いてもらうと、まさに自分が食べ続けたいと思うパンができました。ただ、職人が作る場合、製造のロットは100斤。食べ切れないので近所に配ったり、さらには近くの自然食品店に卸すように…。これがパンメーカーとしての始まりでした。
自分が食べ続けたいパンを追求する。小麦粉・砂糖など基本的な原材料は可能な限り国産の物を使う。国産で手に入らない物は厳選したオーガニックの材料などを用い、添加物に頼らず、昔からの製造方法でパンを作る。これが、天然酵母パン研究会のこだわりです。
ほとんどのパンは卵・大豆・牛乳を使わず、天然酵母と国産小麦だけで製造。アレルギー対応を優先したわけではないですが、結果的にアレルギー対応を求める人のニーズにも応えることにつながりました。
その後、発酵→成形→二次発酵→焼き→袋詰め→仕分け、と全ての工程はほとんど手作業。終わるのは翌日の午後1時(なんと15時間)です!
ホシノ天然酵母
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①発酵
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②分割作業
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③成形
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④二次発酵
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⑤焼き上がり
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卵・砂糖・牛乳を深めの器に入れて混ぜ、ここに食パンを入れて汁を染み込ませたら、バターをフライパンに熱し、食パンと残りの汁を入れて弱火で焦げ目が付くまで両面焼いたら完成!
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トーストした食パンに野菜と目玉焼きとベーコンをのせただけの簡単メニュー。ベーコンをツナに代えれば、サッパリ味に!
☆切り干し大根・ひじきなど、和の総菜をのせても意外とおいしいので、ぜひお試しください。 -
シンプルなサンドイッチは、パンのうまみをいっそう引き立てます♥
軽くトーストしてバターを塗るのはもちろん、お好みでお好きな物をのせたり挟んだりして、新しいアレンジも楽しんでくださいね。
天然酵母と国産小麦粉にこだわり、余分な物が入っていないパンを作る「天然酵母パン研究会」との取り引きは、組合員の声「ひとこえ生協」がきっかけで始まりました。何の前触れもなく東都生協から連絡を受けた中村謙介さんは、大変びっくりしたそうです。こうして、1994年2月から東都生協に天然酵母パン研究会のパンがお目見えすることになりました。
天然酵母パン研究会では、小麦粉は香りと粘りにこだわり、北海道産と九州産をブレンドしています。現在、約80種類のパンを製造し、60種類は卵を使っていません。中村さんはパンが大好き。仕事が休みの日は評判のパン屋さんのパンを食べに行くそうです。パン作りを始めてから32年たった今も、味の探究は続いています。
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日本のパン食の歴史
16世紀半ば、ポルトガル人から日本に初めてパンが伝えられました。その後、伊豆の代官・江川太郎左衛門が長崎の料理人を呼び寄せてパン窯を作らせ、1842年、日本初の本格パン作りがスタート。明治時代には政府の欧風政策に伴ってパン食が普及、菓子パンも作られ、あんパンは当時の人気商品となりました。大正時代になると、現在のようなパン酵母を使ったパン作りが盛んに…。また、第二次世界大戦後の食料不足の折に配給の小麦粉を使って各家庭でパンを焼き米の代用食としたことで、主食としてのパンがますます普及。今やパン専門店のみならず、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどにも多種多様なパンが流通し、食卓においしいパンが並ぶようになりました。
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天然酵母とイーストの違い
英語のイースト(yeast)は日本語にすると酵母のことですが、日本では、製パン用酵母を「イースト」と呼んでいます。イーストは、自然界にある酵母菌の中から製パンに適したものを選び、糖蜜などを用いて純粋培養したもので、安定した発酵力があります。
一方「天然酵母」と呼ばれるものは、一般に、果物や穀物などについているたくさんの酵母菌やその他の菌を利用し発酵させたものです。安定して発酵させるには、「イースト」と比べて手間と時間がかかります。酵母菌以外に乳酸菌などの菌が多く含まれているため、これらの相乗効果により、使われる「天然酵母」によって、味・香りなどに特色があるパンが焼きあがります。
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