東都生協の方針・考え方

東都生協 福祉政策 2025

(抜粋)
2017年1月19日
東都生協 理事会

1.東都生協がめざす「福祉」

私たちは、地域に暮らす人々と平和でよりよいくらしを共につくり、互いのいのちとくらしを守っていく、助け合いと協同の「福祉」をめざします。

 私たち東都生協は、組合員の平和とよりよいくらしのために、組合員共通の食とくらしの願いに応える事業と活動に取り組んでいます。その中で、信頼と安心を土台とした相互扶助組織の協同組合として、助け合いの精神を育み、人と人とのつながりを大切にした福祉・助け合いの活動を重ねながら、その使命と役割を果たし、組合員のくらしと共に発展・成長してきました。

 そして今回、新たな福祉政策の策定にあたり、生活協同組合が果たす使命と役割の原点に立ち返り、「福祉」という言葉を「高齢者や障がい者、子どもなどの社会的弱者に限定するものではなく、すべての人々が幸せなくらしを営むために、互いのいのちとくらしを守っていくことであり、人々が互いに手助けすること」と定義しました。これを東都生協に関わる人々の共通概念とし、東都生協の総合力によって、助け合いと協同の「福祉」の実現をめざします。

2.東都生協が担う福祉の事業と活動

 これからの少子・超高齢社会に立ち向かうための対応策として、東都生協が担う福祉の事業と活動は、地域に暮らす人々の孤独・孤立の防止と高齢者が自立した生活を送るために健康寿命を延ばす介護予防です。これらのお互いに助けたり、助けられたりする互助のしくみを「多目的に利用できる空間」などを活用して実現していきます。また、これまでの組合員同士の助け合いや地域社会に有用な活動、組合員のくらしと地域社会に貢献する配食や生活支援(ア・ラ・タスカル)などの事業を継続・発展させ、地域に参加と利用の輪を広げていきます。

 東都生協が2025年までに「誰もが安心して暮らし続けていくことのできる地域社会づくり」で着手できる範囲は限られたものです。まずは、地域の人々に東都生協が取り組む福祉の事業と活動の認知度を高め、地域に根ざしたコーディネート力を蓄え、さらに、地域で活躍する人が育つ環境をつくることに取り組んでいきます。

 福祉の取り組みの推進にあたっては、組合員と役職員が一緒になって、元気な組合員活動で人と人とのつながりをつくり、地域の人々の生活上の不安や困りごとに寄り添い、誠実に向き合いながら一緒に問題解決の糸口を探していきます。組合員も役職員も一人ひとりが自らのこととして考え、みんなで学び、話し合い、自分の「できること」の力を活かして行動することが重要です。

3.4つの柱と重点的な取り組み

政策の柱・1  誰もが健康で安心して生活できる地域社会づくりをすすめます。

 組合員や地域の人々が、地域福祉への理解を深め、地域の中で協力しながら孤独・孤立の防止や誰もが元気に生活するための健康づくりなどの活動を推進します。また、地域や行政などと連携したネットワークを構築し、誰もが健康で安心して暮らし続けることのできる地域社会の実現をめざします。さらに、組合員が主体的に地域社会づくりに参加・参画し、様々な活動で力を発揮できるよう支援していきます。

重点的な取り組み

  • ① 地域の人々の孤独・孤立の防止、健康づくりなどに役立つ場として、身近な地域で、いつでも気軽につながることのできる地域に開かれた「多目的に利用できる空間」の設置をめざします。
  • ② 子育てママの交流広場や高齢者の健康寿命を延ばし、元気で楽しく自立した生活を送るための介護予防の活動など、集まる機会を増やしていきます。
  • ③ 行政、社会福祉協議会、NPO、医療生協などの地域団体と定期的な情報交流をすすめ、見守り活動などの地域を基盤とする相互連携・協働に取り組みます。
  • ④ 社会福祉や社会保障をめぐる問題について学び、関係団体と連携しながら、制度改善に向けた行政への提言や働きかけをすすめます。
  • ⑤ 福祉活動の活性化に向けた持続的・安定的な支援、地域で活動する際の財源確保のあり方や運用のしくみについて調査・研究をすすめ、福祉基金の創設などの具体的な運用を追求します。
  • ⑥ 専門家のアドバイスを受けながら、地域で活動する組合員の人材育成やネットワークづくりのノウハウを蓄積し、福祉活動の支援をすすめます。

政策の柱・2  人々の高まる不安に対応した、くらしに役立つ事業とサービスを提供します。

 高齢者や障がい者をはじめ、誰もが安心して利用できる事業・サービスに取り組み、安全で良質な「食」と安心できる「くらし」を応援します。また、組合員のくらしを守る活動と事業の連携を図りながら、誰もが安心して元気に暮らすことのできる地域社会を創造し、食と農を真ん中に人と人とがつながりを強め、組合員と地域の人々のくらしを支えます。

重点的な取り組み

  • ① ユニバーサルデザインを基本とした品揃えの充実、商品案内などの媒体の改善、ITの活用、供給システムの改善など、誰もが安心して利用しやすい事業・サービス、情報提供を展開します。
  • ② 単身者、高齢者、障がい者、子育てママの困りごとに寄り添い、くらしの問題解決に対応したサポートや見守りにつながる生活支援(ア・ラ・タスカル)事業を充実させます。
  • ③ 栄養バランスのとれた献立、見守りやコミュニケーションを充実させた配送、誰もが利用しやすいしくみづくりなど、健康につながる食生活を応援し、人にやさしい配食事業に取り組みます。
  • ④ 福祉に関する日常の生活課題を解決するために、身近な地域にサービス・事業の相談窓口を設置します。
  • ⑤ 生産者団体と協働した自然と触れ合える農あるくらしや組合員にとって第2の故郷である産地での住まいの提供などについて、その可能性を追求します。

政策の柱・3  組合員の豊かな生活を維持・発展させる組合員活動を広げていきます。

 東都生協の事業と活動を福祉の視点から捉え直し、これまでの組合員による「福祉・助け合い」や「食と健康」の活動を組織全体で推進します。これまで培われた組合員活動のノウハウ・経験を活かしながら、組合員同士がつながり、助け合いの活動に参加・参画する広がりをめざします。また、組織全体で推進する活動を通じて、地域社会における生活協同組合としての役割を発揮します。

重点的な取り組み

  • ① 組合員による「福祉・助け合い」や「食と健康」活動を地域に多彩に広げていきます。
  • ② 高齢の組合員が培った能力を活かしながら、生きがい・健康づくりなどの活動に取り組みます。
  • ③ 障がい者団体との共同事業(福祉工場サングリーン、リサイクル洗びんセンター、共同作業所)と活動に対する組合員理解をすすめ、商品供給や署名活動や募金を通じて内外に広くアピールしていきます。
  • ④ 東都生協くらしの助け合いの会ほっとはんどや保育ママ制度など、東都生協の助け合い活動の見直しを行い、活動の充実と改善を一体的に推進し、くらしの助け合い活動の輪を広げます。
  • ⑤ 核家族化、少子化、女性の社会進出の下で、子育て世代や子どもの食生活を応援する食育活動や子ども食堂などに取り組み、地域社会での役割を発揮します。

政策の柱・4  人にやさしい福祉の風土づくりをすすめます。

 くらしの困りごとを他者の問題ではなく自らの問題として捉え、見守りや声かけなどが自然にできる気配りと思いやりを持ち合わせた「人にやさしい組織」をめざします。福祉の視点から事業と活動を横断的に捉え直し、組織を挙げて福祉の風土づくりをすすめます。

重点的な取り組み

  • ① 地域や人にやさしい行動のできる人材を育成するために、学習機会(地域防災リーダー養成講座、認知症サポーター養成講座、ホームヘルパー養成講座など)を設けます。
  • ② 職場でのノーマライゼーション教育の強化と積極的な福祉の風土づくりのため、他生協や他団体などの先進事例を学びます。
  • ③ 障がい者雇用を推進するとともに、障がいの有無に関わらず、誰もが働きやすい職場環境づくりをすすめます。
  • ④ 少子・高齢化や核家族化を背景に高まる保育や介護、一人暮らしの住まいなどの困りごとに対応したくらしの総合的なサポートのあり方について、調査・研究をすすめます。
  • ⑤ 福祉の取り組みを組織全体で総合的に推進するための体制整備(各部署での役割の明確化、専門部署の設置や専任職員の配置など)をすすめます。