東都生協の方針・考え方
食の未来づくり運動
-いのちをつなぐ大切な食べものを未来につなげたい- 抜粋
食をめぐる環境は決して楽観できるものではなく、この厳しい情勢を乗り切るために、消費者は「ほしいものが安く手に入ればよい」という短期的な視点ではなく、長期的かつグローバルな視点で、主体的、積極的に食の確保、食生活づくりに関与していく必要があります。東都生協は設立以来、「産直」を「生産・流通・消費のあり方を問い直す運動」としてとらえ、生産者と消費者が対等の立場に立ち、食とくらしに関する新しい価値を創造する取り組みを行ってきました。食と農を事業と運動の基軸においている東都生協として、食をめぐる状況の中でめざす方向性といのちをつなぐ大切な食べものを未来につなげる「食の未来づくり運動」を提起します。
食の安心のためには、まず生産と消費の現場を近づけること、そして何か障害があるならば、両者でそれを解決するという姿勢が大切です。これまでの産直事業の上に立って、生産者と消費者の提携をより強化することで食料の安定確保につなげていくことが求められます。
サミットで地球温暖化の問題が重要課題になるほど、環境問題への対応は重要です。農業の現場でも、畜産農家から出た家畜の糞を堆肥にして耕種農家で使用したり、食品加工業や家庭から出る食品残さを畜産飼料や堆肥にしたりというように、循環型の農業の確立は将来にわたり持続可能な農業を進めていく上で望ましいといえます。
私たちが求める社会は、大量生産・大量消費、効率優先という企業本位のものではなく、生産や流通のしくみがよくわかり、持続可能な社会を求める消費者本位の、安全で品質がよく、環境に配慮した食の生産が正当に評価されるような社会です。そのような社会の構築のためには、消費者の主体性が求められます。
消費者がどんな価値観で何を選ぶかは、人それぞれのライフスタイルによります。東都生協は、地域農業を元気づけ、日本の食料自給率向上につながるようなライフスタイルを提案していきます。
- 国産応援セレクト100を中心とした東都生協の商品のある食生活
東都生協では、昨年、「国産原料へのこだわり」「つくり手のこだわり」「自然環境配慮へのこだわり」の3つのこだわりに応える商品を選び、「国産応援セレクト100」マークをつけました。日本の農業のこと、食の未来のことを考えてもらうためにも、これらこだわりのある商品を多くの組合員に利用してもらう取り組みをすすめます。 - 食べ物から生産現場を想像できる消費者づくり
食への関心を高め、食の安心を取り戻す一つの解決策が、食と農を近づけることです。農業生産や農業経営について生産者とのコミュニケーションにより理解を深めること、生産者との真の信頼関係を深めることが必要と考えます。そのため、「交流・訪問2万人運動」を掲げ、その内容の充実と推進を行っていきます。 - 米の利用促進
東都生協では試食や交流などを通して、日本の農業や水田稲作について語り合い、安全でおいしい米をもっと利用し、広める活動「お米を真ん中に」を進めています。米をもっと利用してもらうために、組合員が求める米の供給やご飯にあった惣菜の開発を進めていきます。さらに、内食(うちしょく=外食ではなく家での食事)の促進や、米粉を利用してもらうための料理教室なども開催します。 - 食育の推進
食生活の健康面への影響や、食の安全・安心への揺らぎ、食料自給率の低迷など食をめぐるさまざまな課題を背景に、食育が見直されています。産地とのつながりが深く、組合員が生産者と交流し、学ぶ機会がたくさんある東都生協の強みを生かして、いのちの源である農業に触れ、学ぶと同時に、食材を上手に調理し、いただくことを通して、生命を育むことの尊さや、その生命をいただくことのありがたさを実感できるような、食育活動を推進していきます。
私たちの食を守るためには日本の農業の発展が欠かせません。そのために消費者として何ができるのかを考え、実行していきます。
- 地域総合産直の発展
「私たちが、本当に良い作物をずっと手に入れ続けるためには、産地の一部の生産者だけを見ているのではなく、地域全体の農業を考えていかなければならない、地域の振興があって初めて、将来にわたって産直の展望が開ける」との考えから20年前に提唱した地域総合産直、その考えは現在においても有効で、さらに求められていると考えます。これまでの地域総合産直の取り組みをさらに発展させると同時に、地域農業と総合的につながる多様な産直モデルを模索していきます。 - 生産現場への消費者からの働きかけ
生産現場が元気になるために、消費者は何ができるのか。このことを真剣に考える必要があります。私たちが安心して食べ続けるためには、生産者が安心して作り続けられる環境も必要なのです。作付け前に生産者とある一定の田んぼや畑からの収穫物を買い取るという契約や、不測の事態のときにそれを活用する基金制度、農業生産や新規就農を支援するしくみ(生産法人やNPOの組織)などを産地と共に模索します。また、畜産農家は構造的に続く飼料の高騰により存亡の危機にさらされておりますので、農家経営に資する対策を一緒に考え、取り組んでいきます。
東都生協の取り組みが広く社会に認知されるよう、他生協との連携や、社会へ発信をしていく必要があります。
- 他生協との連携
産地と組合員の取り組みだけでなく、広く社会にアピールをして運動を広げていく必要があります。まずは、考えを同じくする生協とのかかわりを大切にしながら、農業政策提案や共同事業の可能性などを視野にいれて、広く志をともにする人々との連携をつくり、社会的な運動につなげていくことを検討します。 - 生協内の推進本部機能の設置
新たな行動を生み出す核として「(仮称)日本農業の未来構想プロジェクト」を生協内につくり、新たな運動の推進本部機能とします。