日本の水田を守ろう! みんなdeミーティングを開催しました
生産者と消費者が信頼でつながり、産直米を守り続ける
全農パールライス㈱ 服部常務取締役
東都生協商品部 菱木職員
北海道・(有)どさんこ農産センター 石川取締役
新みやぎ農業協同組合 佐々木部会長
やさと農業協同組合 廣澤専務理事
グリーン近江農業協同組合 安孫子課長
東都生協 橋本副理事長
東都生協 奥山専務理事
2025年8月22日、東都生協は「日本の水田を守ろう! みんなdeミーティング」を東京都農業会館(渋谷区代々木)にて開催しました。会場には90人ほど、オンラインでは150人近くの東都生協の組合員、生産者、関係取引先、職員が集まりました。
今回の「みんなdeミーティング」は、昨年来のいわゆる"令和の米騒動"について、生産者の状況を正しく知り、日本の稲作・水田を未来に引き継ぐ行動について考える機会として開催。「消費者の食べ続ける約束があってこそ、生産者は米をずっと作り続けられる」として、産直米を食べ続けるために正しい情報を知り、みんなでできることを考えました。
開会あいさつで東都生協・風間理事長は「報道だけでは伝わらない現場の声を届けることが生協の責務」だとして、「日本の米の危機的状況の中で、生産者と消費者が対等な立場で意見を述べる貴重な機会。活発な意見を頂戴したい」と延べました。
米に関する情勢報告
初めに登壇した全農パールライス㈱の常務取締役 服部康行氏は「令和の今回の米騒動は、需要に対して生産が不足していたこと、農林水産省の認識が甘いまま対応しなかったことが原因だった」と指摘。
「卸会社では2023年産米の収穫段階から年間供給に不安があった」として、米騒動が起きた経緯、マスコミや消費者の動き、備蓄米放出に当たっての障壁など、さまざまな視点から米騒動を振り返りました。
服部氏は、2025年産米の買取価格が例年に比べて高くなっていることを示し「今後は生産者と消費者の適正価格のギャップがどう埋めるかが課題。令和の米騒動は日本の農業のさまざまな課題を浮き彫りにした」とまとめました。
東都生協からは商品部部長補佐の菱木正悟職員が産直米について報告。「天日干し米」や「農業高校リレー米」など、長年にわたる東都生協の産直米の取り組み経緯を説明しました。
「令和の米騒動」で東都生協内でも急激に産直米の需要が増え、年間契約量の範囲で対応するために抽選で対応せざるを得なくなった経緯を説明。「今後は東都生協として『登録米』から『約束米』へと進化させることで生産者とのつながりを強め、価格設定の見える化を進め、国産米を誰もがおなか一杯に食べられる社会を目指したい」としました。
生産現場からの声
有限会社どさんこ農産センター取締役 石川隼人氏
「地域の水田を守りたいと農業を始めた。コロナ禍では、米の買取価格は下がる一方で肥料や資材代が上がり、一番きつかった。これまでの米価格は家族労働でしか賄えないほど低水準だったが、2025年産米の価格が上がることで『米を育てたい』という若者が挑戦できる環境を整えることができる」と話しました。
新みやぎ農業協同組合田尻産直委員会米部会 部会長 佐々木武美氏
「田尻産直委員会米部会は50年にわたり、安全·安心な農産物を消費者に届けたいという強い思いで活動してきた。生産者の高齢化、資材の高騰などさまざまな課題があるが、特に除草作業が大変。一つ一つの課題に向き合い、2025年産米についても安全·安心でおいしい米を生協の組合員へ届けられるように頑張っていきたい」と話しました。
やさと農業協同組合 専務理事 廣澤和善氏
「長い間生産調整をしてきた結果が米騒動につながった。政府は農業の大規模化を推奨しているが、日本の農業の4割は中山間地で行われている。そのため、中山間地での農業が生き残るための政策も必要になっている。これからの産直の取り組みは、産地で消費者自らが食料作りに参加することで、産地と生協組合員の関係を強化していくことにある。産地とつながる生協の未来に向けた発想の転換が必要」だと語りました。
グリーン近江農業協同組合 販売推進課 課長 安孫子雅則氏
「近江は環境こだわり農業の取り組みが日本一。米については価格の下落、労働力不足、資材高騰により、麦や大豆へ転換が増えて水田が減り、米の収量は近年減少傾向にある。生産者が安心して農業を続けていけることを目指している。作る約束と食べる約束により、これからは『約束米』作りに組織を挙げて取り組み、生産者と生協組合員をつないで食べる量=作る量を明確にすることで安定供給に努めていきたい」と話しました。
続けて東都生協・橋本副理事長が組合員から寄せられた声を紹介。米が届かないことへの不安の声など現実的な課題のほか、「農業を自分ごととして考える」組合員の意識の変化が見られたことを報告しました。
「今回の米騒動はお米に限ったことではない。産地や生産者と近い距離にある東都生協だからこそ、日本の農業の未来に責任を持つことが重要。産地と組合員がより近い関係になれるように、みんなでお米について考える企画を進めている」として「今回の各方面の思いを受け止め、消費者は安さを求め過ぎず、一人一人が農業という課題を自分事としてとらえ、東都生協というプラットフォームを産地直結で作り上げていきたい」と述べました。
閉会あいさつに立った東都生協・奥山専務理事は「『食べ続ける約束とつくり続ける約束』とい信頼関係が重要。お米はいつでもあるものではなく、守り続けることが必要な時代になっている」と延べました。
「最も大切なのは生産を自分事としてとらえること。生産者にとって必要な価格と、消費者が利用し続けられる価格を追求することも必要。これからも東都生協組合員・役職員が一体となって、持続可能な農業を維持できるように活動を続けていきたい」と締めくくりました。
今回の学習会を通じて、米は「あって当たり前」ではなく、守り続けることが必要な時代であることをみんなで共有することができました。生産者と消費者が信頼でつながり、持続可能な農業を支える仕組みづくりを目指して、東都生協は「約束米」に取り組んでいきます。
登壇いただいた産直産地の皆さまと