学習会「日本の水産業の現状と東都生協の産直」を開催しました
日本の漁業の現状を学び、生産者と一緒に産直の在り方を考えました
2018.04.10
カテゴリ 食と農
講師の武田裕貴氏(北海道ぎょれん)
試食の鮭・いくらごはん
日本の農水産業はさまざまな課題を抱えています。組合員と生産者が互いの環境変化や課題に向き合い、東都生協の産直の事業と運動への理解を深めることを目的に、今年度はシリーズで学習会を開催してきました。今回は水産業の現状について学びました。
北海道漁業協同組合連合会・武田さんのお話
北海道漁業協同組合連合会の武田さんは、始めに世界の水産物消費の動向を説明。日本全国の漁業生産の推移としては、6年続けて海面漁業・養殖業の生産量が500万トンに届かず大幅減となる中で、浜値の上昇により生産額としては微減となっていることを報告しました。
続いてホタテ、サケ、昆布など北海道の魚種別の生産量と単価の推移を示し、水揚高が減少傾向にあることを解説。北海道での漁業の課題として、全道的な水揚げ減少、国内消費の低迷、漁業者の高齢化や後継者不足を挙げました。
これらの課題に対する取り組みとして武田さんは、魚種ごとの漁獲可能数量の設定、大きさの基準、育てる漁業の推進など、将来へ向けた水産資源の保護や、全年代に向けた食育、魚食の普及活動の実施などの産地の取り組みを紹介しました。
東都生協での水産品の利用動向
東都生協商品部の藤田職員からは、食生活の変化などに伴う水産品の利用離れによる支出額・購入額の減少など、消費の現場を巡る状況を報告。
「枝幸(えさし)魚つきの森(※)」商品の利用普及や、地域や県などにこだわった商品配置と品ぞろえの充実、季節や旬を意識した商品の企画増、利用しやすい商品提案、茶話会や学習会開催など、水産品の消費拡大に向けた取り組みを紹介しました。
講演の後は、参加者から質問も受けながら交流と試食を行い、東都生協のこだわり・魅力・商品の良さを実感する学習会となりました。
※枝幸魚つきの森:
東都生協が北海道漁業協同組合連合会・枝幸(えさし)漁協と協同で取り組む活動。山林への植樹活動や鮭の稚魚・ほたての稚貝の放流、交流活動に取り組んでいます。消費者と生産者が一緒に地球環境と生命の源である川と海を守り、漁場・資源管理型漁業により生産される水産物を利用し、豊かな食生活を推進することを目的としています。
<参加者の声>
- グラフが多く視覚的も分かりやすかった。水産の現状が理解できた。
- 水産業の漁獲量がここまで減っているとは思いませんでした。
- 広い意味では世界規模で海水温の上昇のことなど考え実行していかないと、先細り傾向は止められないと実感した。
- サケ、サンマの不良をニュースで聞いていたが、その理由を詳しく知り、理解することができた。
<今回の試食品紹介>
①「東都北海道枝幸産いくら醤油漬」
北海道の枝幸沿岸で9月から11月に漁獲される秋鮭の卵を漁獲後直ちに枝幸漁協にて採卵し、生から漬け込んでいます
②「東都北海道枝幸産ほたて貝柱」
約4年の歳月を自然状態で生育した「地まきほたて貝」。枝幸産のホタテは甘みが強く、肉質も良いといわれています。水揚げされたその日のうちに急速冷凍され製品化されます
③「東都北海道枝幸産秋鮭切身(甘口)」
北海道枝幸前浜で漁獲された銀毛の秋鮭を使用。一次加工は枝幸漁協直営工場で行っているため原魚搬入までに時間がかからず、高鮮度のまま加工しています。塩分2%