みんなの活動:これまでの活動報告

学習会「協同組合ってなに?~ユネスコ無形文化遺産登録から考える~」を開催しました

よりよい社会づくりに向けて組合員・役職員が協同することの大切さを学びました

2017.06.14

幅広い年代層の方が参加しました


講師の加山久夫理事長


庭野理事長がまとめのあいさつ(右端)

東都生協は2017年6月9日、賀川豊彦*1 記念松沢資料館*2 を運営する公益財団法人 賀川事業団 雲柱社の加山久夫理事長を講師にお迎えし、生活協同組合の歴史と、協同組合の持つ価値と役割について学ぶ学習会を開催しました。組合員と役職員38人が参加しました。(会場:さんぼんすぎセンター)

2016年11月、協同組合がユネスコ無形文化遺産に登録されました。協同組合が「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化、再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」との理由から、国際的な評価を得た結果です。

しかし、日本ではほとんど報道されませんでした。その背景として加山さんは、協同組合に対する理解や認知が不足していることを挙げ「協同組合内部の役職員や組合員が、協同組合の一員としての自己理解と自覚、外部への発信力を持つ必要性がある」と問い掛けました。

戦前・戦後を通じて生活協同組合運動に力を注ぎ、日本生活協同組合連合会やコープこうべの設立など、現代の生協の礎を築いた賀川豊彦は、協同組合の本質について「協同組合の精神を一口にいえば助け合いの組織である。生産者も、消費者も愛のつながりによって公正な、自由な幸福を分かち合う経済生活をいう」と語っています。*3

協同組合は、国や自治体、企業とは異なり、
①思想(人と人とが助け合う相互扶助の精神)
②経験(誕生から2世紀の歴史)
③人(世界で約10億人に上る協同組合員人口)
④組織文化(社会的民主主義・政治的民主主義・経済的民主主義)
⑤経済力(NPOの経済的脆弱性の問題)
――などの特徴があり、地域福祉のために果たし得る可能性が非常に大きいことを学びました。

よりよい社会づくりに貢献する生協への期待が近年、国際的に高まっています。東都生協の組合員・役職員一人ひとりが協同組合の一員であることの意識を高め、自らよりよい社会づくりに参加・参画していく必要性に対する理解を深めることができました。

<参加した組合員の声>
  • あらためて、生協が社会に果たす役割と可能性の大きさへの認識を強くしました
  • 視野が広がった。生協や組合員について考えることは多いが、他の協同組合を仲間として捉えられていなかった。自分が協同組合の一員だという意識が持てた
  • 生協の歴史についてあらためて学習する中で、そもそも助け合いの組織だということ、組合員に留まらずに世の中全ての人とつながって、より良く生きるために力を尽くす組織だということに自信が持てた
  • 生協の歴史を知り、現在の生協は貴い思想と強い実行力を持つ偉人の活躍があったからこそ誕生したということが分かり、感銘を受けた
  • 生協として、組合員活動として、原点に帰る学習会でした



*1 賀川豊彦(1888~1960):"協同組合の父"と呼ばれ、戦前より労働組合運動や農民運動、協同組合運動などで重要な役割を担い、現代の協同組合の礎を築いた一人。キリスト教の洗礼を受け、若き日、神戸のスラムに身を投じて貧しい人々の救済に専念し、「貧民街の聖者」として世界的な知名度も高い。ノーベル文学賞候補に2回、平和賞候補に3回推薦された

*2 賀川豊彦の思想と実践を後世に伝えるために、賀川豊彦に関する資料の蒐集、保存、公開、展示、その他の社会教育事業を行っている。賀川豊彦記念松沢資料館ホームページ(外部サイトにリンクします)

*3賀川豊彦著 復刻版「協同組合の理論と実際」(発行:2012年 日本生活協同組合連合会)