みんなの活動:これまでの活動報告

大前比呂思医師を講師に放射能学習会を開催しました

低線量被ばくの健康影響について学習

2017.05.08

約50人が参加

約50人が参加

東都生協は2017年2月15日、大前比呂思(おおまえ ひろし)医師(茨城保健生協内科医、獨協医大特任教授)を講師に学習会を開催。

大前氏の専門は寄生虫感染症対策ですが「核戦争に反対する医師の会」にも参加。復興庁「放射線リスクに関する基礎的情報」の問題点を指摘・発信しています。今回は核兵器廃絶を目指す医学者の立場から、低線量被ばくの健康影響と問題点について話しました(以下要約)。

大前比呂思医師の講演内容(要約)

放射線による健康被害には、一定の放射線量被ばくにより高確率で早い時期から現れる「確定的影響」と、微量の放射線量でも遺伝子が損傷し、後年問題となる「確率的影響」があります。

福島第1原発事故後に予想される低線量(100ミリシーベルト以下)の放射線で起こりうる健康被害(発がんなど)についてはWHOも危険性を指摘。低線量被ばくの健康被害は、以前は原爆被爆生存者の調査が中心でしたが、最近は医療被ばくを中心に議論されています。

X線を使って身体の断面を撮影するCT検査で医療被ばくを受けた小児の調査では、累積線量5~10ミリシーベルト程度の線量で発がんリスクが増加し、成人も同程度で発がん頻度が上がるという報告もあります。

病気、けがなどについてX線検査により得られる情報(利得)と被ばくのリスクとの間で状況に応じた判断が必要です。

一方、福島第1原発事故後の被ばくは線量が低くても、X線検査とは異なり、住民に何の利得も生じません。健康リスクを減らすためには、健康診断の拡充が求められるべきです。

福島県外避難者、北関東のホットスポットになった地域も含め、若年者では甲状腺検診の拡大が、成人は放射線の健康影響が多彩であることを考え一般健康診断の拡充が必要でしょう。

また、具体的な判断材料にできる放射線の科学的情報を記載した冊子を行政が提供することなども必要ではないでしょうか」


(文責:東都生協・組織運営部)