みんなの活動:これまでの活動報告

平和について学び、交流する「平和のつどい」を開催

次世代に歴史の事実と平和の大切さ伝える

2010.08.04

作・演出の登坂 倫子さんが出演

作・演出の登坂 倫子さんが出演

平和に関する展示に見入る参加者

平和に関する展示に見入る参加者

第二次世界大戦中の疎開先での場面

第二次世界大戦中
の疎開先での場面

みんなのお姉さん役:まり子

みんなのお姉さん役:まり子

アザラシの母とカメラマンの対話で文明生活をえぐります

アザラシの母とカメラマン
の対話で文明生活をえぐります

モノローグで現代の日常を表現する場面.jpg

モノローグで現代の日常を表現する場面

会場がギターとオーボエの心に染み入る響きに包まれます

会場がギターとオーボエの
心に染み入る響きに包まれます

動物写真家・小原玲さんのアフタートーク

動物写真家・小原玲さんの
アフタートーク

出演した子どもも熱心に質問

出演した子どもも熱心に質問

(社)東友会の中伏さんによる被爆証言

(社)東友会の中伏さんによる被爆証言

劇に出演した子どもから(社)東友会へ膝掛けを贈呈

劇に出演した子どもから
(社)東友会へ膝掛けを贈呈

NPT再検討会議に向け代表派遣された松島理事

NPT再検討会議に向け
代表派遣された松島理事

東都生協は2010年7月24日、セシオン杉並ホール(杉並区梅里)で「第7回 平和のつどい」を開催し、300人を超える組合員が参加しました。

第1部は、平和をテーマにした劇「表現者のびおと~ぷ unseen~あんしぃん~」を上演。脚本は俳優で演出家の登坂倫子さんが書き下ろし、出演者は組合員の子どもから公募するなど、東都生協オリジナルに仕上げました。

第2部は(社)東友会(東京都原爆被害者団体協議会)の被爆証言に続き、今年5月に国連本部で開催されたNPT(核不拡散条約)再検討会議に合わせ、東都生協から代表として派遣された松島正枝理事よりニューヨークでの平和活動の様子が報告されました。

会場ロビーでは、東都生協組合員から寄せられた平和メッセージの展示、世界で活躍する日本人写真家によるプロジェクト「EYEWITNESS」の写真展、東京大空襲や原爆に関する展示や平和募金を活用した活動報告など、さまざま平和活動が紹介されました。

第1部
平和と環境問題問うオリジナル劇を上演

当日上演した劇「表現者のびおと~ぷ unseen~あんしぃん~」は、「一日を愛し、一年を憂い、千年に思いを馳せる」という着想にもとづき、登坂倫子さんが書き下ろしたオリジナル劇で、過去、現在、未来の空間が、舞台上で交互に入れ替わってゆく構成。

「一日」では現代の何気ない日常ににじみ出る平和を表現し、「一年」では第二次世界大戦中の疎開児童たちの一年を、「千年」では流氷の上のアザラシの母と写真家の対話を描きます。3つのストーリーが最終的に一つに融合し、現代でもはや共通テーマとなりつつある平和、環境問題への問い掛けにつなげました。

当日舞台に立ったのは、東都生協組合員の子どもの中から募集した小学校3年生から高校1年生までの平成生まれの元気な女の子8人。

作者の登坂倫子さんや舞踏家の加賀谷早苗氏の指導のもと、戦争や昭和初期の学童疎開について学びながら、同じくオーディションで選ばれた主役の写真家役と教師役の2人とともに4月から毎週土曜日、東都生協の施設を使い2時間半のレッスンを重ねてきました。

戦時中の場面での出演者の衣装は、当時の感じを出すために組合員が手作り。アザラシの写真家役を演じた小坂由美さんは、この役のモデルとなった「EYEWITNESS目撃者達」の写真家小原玲さんが実際に流氷の海で着ていた防寒着を借りての熱演でした。劇中で使われた写真も小原玲氏からの提供です。

「EYEWITNESS目撃者達」は、7人の写真家による自然本来の姿を伝え、地球環境を守るプロジェクト。劇中用いられた音楽、モーツァルト「トルコ行進曲」をゆっくりと再現しながらはじまったオーボエ奏者tomocaさんと小畑和彦さんのギター生演奏をバックに、地球上の各地で刻々と変化する環境、自然本来の偉大な力を目撃してきた写真家たちの作品を通じて「未来への伝言」を伝えました。

続いて小原玲さんのアフタートーク。戦争をテーマとする報道写真家から、動物写真家に転身した経緯を説明。地球温暖化によって年々流氷が減少し生存環境が脅かされているアザラシの赤ちゃんの現状が説明され、「大切なものを守りたい」という情熱が、活動の出発点となったことが語られました。ロビーでの写真集「流氷の伝言」販売では、サインを求める人の列ができていました。

第2部
世界へ、そして次世代へ向けメッセージ発信

第2部は(社)東友会(東京都原爆被害者団体協議会)中伏幸子さんの被爆証言ではじまります。

ヒロシマに原爆が落とされたとき、当時5歳の仲伏さんは爆心地から1.7kmの幼稚園内にいました。爆風で背中にガラスが突き刺さっていることがたいしたことではないくらい、もっと恐ろしいことが周りで起きたことが5歳の子どもでもわかった、と話す仲伏さん。

「あなたが心配だったから」と爆心地の近くから被爆をして帰ってきた母親が目の前で静かに息を引き取ったことや、水がほしいと手を伸ばす被爆者の光景を何度も夢に見るそうです。どんな困難にあっても1発の原子爆弾で亡くなった人々を思うと生きていける、これからは世界の人たちと協力して平和の世界をつくってほしい、と会場の私たちに時折涙を見せながら話しました。

続いて(社)東友会へ組合員一人ひとりが編んだモチーフをつなげた手作りの膝掛け贈呈を行いました。(社)東友会は東京都に住む被爆者の連絡会で、核兵器廃絶の運動や被爆者支援の活動を続けている団体。東都生協では同会の活動を支援し、交流を通して被爆の体験を語り継ぐ活動をしています。

(社)東友会副会長の山本英典さんからは、感謝の言葉とともに、モチーフが病床にある被爆者を力づけ、相互のきずなを深め合う活動に役立てられていることが紹介されました。

今年5月、核不拡散条約(NPT)再検討会議に生協代表団として東都生協の代表として派遣された松島正枝理事からは、ニューヨーク国連本部での活動が報告されました。

NPT再検討会議開催に合わせ、全国46生協105人は日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)52人と共に代表団を結成。現地でグループに分かれ、高校や大学での被爆者との懇談や、平和集会や世界中から1万人以上が集結した「平和大行進」への参加、国連ロビーでの原爆写真展、各国政府への核兵器廃絶の訴えなど精力的に活動しました。

今回の平和のつどいも、平和で安心して暮らせる世界を次世代に受け継いでいくため、多くの組合員が世代を超えて歴史の事実や平和の大切さについて考え、交流する機会となりました。