6生協が水田政策と米の価格問題を考える合同学習会を開催
生産者と消費者が共につくる持続可能な農業へ
会場の様子
国内で活動する6生協は2026年4月11日、水田政策や米の価格問題に関する合同学習会をTKPガーデンシティPREMIUM 品川HEART ホール8B(東京都港区)にて開催しました。会場には消費者や生産者、生協関係者など241人が参加し、オンライン参加の379人と合わせて620人が参加しました。
6生協では、低迷する食料自給率、縮小の一途をたどる国内農業、昨今の気候変動や地政学的なリスク、状況が食と農の危機的状況にあるという認識の下で2023年から連携して取り組みを開始。
食料・農業・農村基本法改正(2024年5月)や同法に基づく新たな食料・農業・農村基本計画の策定(2025年4月)に際して、食料自給率の向上、有機農業の推進、食品表示、農村政策など、消費者団体の立場から国への提言を行ってきました。
今回の学習会は、私たちの主食であり食料自給の中心を担う米・水田活用について課題を共有し、2027年に予定する政策提言に向けた基礎を固め、6生協連携の意義を再確認することを目的に開催されました。
東都生協 風間与司治理事長が開会あいさつ
開会あいさつで東都生協・風間理事長は「2024年夏に発生した『令和の米騒動』以降、国は増産方針から一転、需要に応じた生産へ転換するなど、米の安定供給が見通しにくい状況が続く。本年4月に施行された食料システム法でコスト指標が明示され、適正価格形成に向けた動きが焦点だが、足下では米の調達競争がもたらした米価高騰で消費が振るわず、在庫が積み重なっている。物価高で生産者も厳しく、消費者も家計負担が厳しい状況だ」として両者の隔たりを埋める直接支払政策の必要性を訴えました。
併せて2027年度に導入される新たな水田政策について「飼料自給率向上と耕畜連携に不可欠な飼料用米への支援、農家の経営安定対策が課題だ」として、活発な議論を求めました。
学習会前半の基調講演では、明治大学教授・作山巧(さくやま たくみ)氏が令和の米騒動の要因、生産者と消費者双方にとっての適正価格の実現、改正食料・農業・農村基本法・新たな基本計画の評価、今後求められる農業政策の在り方について専門的な立場から講演しました。続いて、農林水産省課長・国枝玄(くにえだ げん)氏が米政策の考え方と現状について説明しました。
後半は、米生産者から生産現場が直面する課題、消費者に伝えたい現場の声などの報告があり、消費者の視点から6生協の組合員代表より水田保全への期待、米の適正価格、生協として取り組むべき方向性などが報告されました。司会はパルシステム生活協同組合連合会理事長の渋澤温之氏、東都生協・橋本好美副理事長が務めました。以下は当日の講演・報告の概要です。
明治大学農学部教授 作山 巧 氏
基調講演
「適正価格をどう実現するか? -令和の米騒動と直接支払い-」 明治大学農学部教授 作山 巧 氏
改正基本法と新基本計画の評価
1999年の基本法制定に関わり、同法に「多面的機能」「直接支払い」を位置付けた。改正基本法は基本理念が総花的で中山間直接支払いのような新たな支援策がなく、基本計画では目標とKPI(目標達成のための中間指標)の齟齬(そご)が大きい。家畜飼料を除外した食料自給率目標のKPIに家畜飼料を除外しない「食料国産率」を設定し、合理的価格形成のKPIをコスト反映が不明な「生産額」とするなど、異なる指標を立てている。
食料自給率は国内生産÷国内消費で計算されるが、高齢化や人口減少で分母の国内消費が減れば自給率は高まる。自給率向上には、輸入品ではなく国産の農畜水産物を食べる消費行動が必要。併せて食料安全保障の確保には食料自給率だけではなく、高齢化や人口減少などの「分母」に左右されない「食料自給力」指標が必要だ。
令和の米騒動はなぜ起きたのか
主食用米の需要量は過去60年で半減。ごはん茶碗1人1日当たり5杯が2.4杯に減る一方、肉や油の消費が増加し、輸入大豆を原料とする油の消費量は3倍に増えた。2018年に減反制度が廃止されてからも、転作助成金で事実上の減反は継続。かつては取れ過ぎた米を政府が買い上げ、消費者に安く供給する食糧管理制度の下で在庫処分に3兆円を投入した。政府が今も米生産への関与や米の買い入れに消極的なのは、こうした背景がある。
半世紀以上にわたって米の生産調整が行われてきたのは、必需品の米は少しの生産削減で価格が大きく上昇し、農家の収入が向上するからだ。農業経済学では、必需品の米は生産・需要ともに硬直的なため、生産量が10%減れば価格が2倍になることは以前から知られていた。
一方で消費者は、高所得層よりも低所得層で米の消費量が増え、賃金が上がらない中では価格高騰の打撃が大きい。高価格を求める生産者と低価格を求める消費者の利害対立が先鋭化しているのが現状。
主食用米は、政府が作った需要量の見通しに基づいて農家が生産し、政府は需給調整に実際に関与している。強制はしなくても、田んぼで麦・大豆・飼料米を作れば補助金を交付する政策を取ることで、米の生産量は明らかに減らされている。
生産量が需要量の見通しを下回ると米が足りず、需要見通しより需要量が増えると不足がさらに拡大する。2021年には需給ギャップはほとんどなかったが、2022年産は21万トン、2023年産44万トン、2024年34万トンの需給ギャップが生じた。
米騒動は2023年・2024年の予期せぬ需要増だけではなく、生産量が減ったことに始まる。過度な生産調整で供給が減ったところに需要量が増加して3年間で100万トンが不足した。米の生産削減と需要増加の相乗効果で価格が高騰したことが、令和の米騒動の原因に他ならない。
需要量の増加の要因として政府が挙げるのは、猛暑による精米歩留まりの低下と2024年8月の南海トラフ地震臨時情報で家計購入量が増加したこと。ただ「インバウンド需要の増加」は、訪日外国人旅行者数が3千万人超となった2018年・2019年は米の消費が減少しており、つじつまが合わない説明だ。
適正価格をどう実現するか
「生産者米価を上げる」「消費者の負担を減らす」「納税者負担を減らす」この3つは同時に実現できない「トリレンマ」。必需品の米は、生産者は高価格、消費者は低価格が有利で、原理的に折り合うことができない。互いに負担を分かち合う必要があるが、コスト指標が実現してもそうはならない。
従来は生産調整で供給量を絞って価格を引き上げ、主に消費者の負担で生産者を保護してきた。生産調整を行わずに市場原理に任せると米5kgで1,000円まで下がる。しかし生産調整は「需要の減少」→「生産調整の強化」→「相対価格の上昇」→「需要の減少」という負の連鎖を招く。最近のデータでも米価格の高止まりで米離れが進み、米の消費が減り始めている。生産調整は、長期的には生産者のためにならない。
生産調整から直接支払いへの転換で、消費者利益の増加が納税者負担を上回り、社会的利益は増加する。生産調整は、せっかく田んぼで米が作れるのにその生産を絞って価格を2倍に引き上げることになり、消費者の損失が非常に大きく、社会的損失にもつながる。直接支払いを実施すれば「消費者利益-財政負担」が約7,000億円プラスとなり、十分に元が取れる。
生産者に振り切った政府のコスト指標と比較すれば、生産性向上によるコスト削減を前提とした直接支払い額は低くなるが、価格変動リスクをなくすメリットがある。直接支払い単価を財政負担で増やしていけば、消費者の負担を増やさず、農家の手取りを増やしていくことができる。
農林水産省 農産局農産政策部企画課長 国枝 玄 氏
農林水産省 農産局農産政策部企画課長 国枝 玄(くにえだ げん)氏
「米政策を巡る状況」
需要を低く見積もり、生産量も不足して米が足りず、価格高騰を招いたのは申し訳なく思う。米不足を反映して2024年~2025年産米は高価格で推移。現在は店頭価格が4,000円を割りながらも高止まりしているが販売数量はほとんど減らず、消費者や業務用の実需が支えている状況。
2025年6~8月には安い備蓄米の放出で価格が一時下落し、放出が止まると価格は元に戻った。コシヒカリなどの銘柄米の価格には影響がなかった。2026年1月をピークに価格は下落傾向にあるが、銘柄米・ブレンド米ともに、2025年産の価格は下がってきている。
消費はあまり減らない一方で、2025年産が35万トン増え、備蓄米59万トンの販売後も32万トンの在庫が残っており、直ちに供給危機というほどではない。
価格が高止まりしているのは、2025年産米の概算金を農協・卸が高めに設定して損切りが難しいからだと考える。国内価格高騰は輸入の動きにも影響を及ぼし、国際約束に基づき売買同時入札を通じて輸入される特別枠「SBS米」の上限10万トンが輸入されるほか、1kg当たり341円の関税付き輸入も増加しており、2025年7月時点で合計20万トン以上が流通に回っている。
輸入米はカルローズ米以外にも業務用にも使われ、国内の高価格が輸入増加を促す構図が生じている。2026年産需給見通しは711万トンを示し、全国の作付け意向を集約すると合計732万トン。2027年6月末には在庫が最大271万トンに達する見込みで、こうした過剰在庫は需給の安定には良くないと考える。
単に主食用米を作るだけでなく、加工用米、米粉用米、飼料用米、麦・大豆など需要に応じた多用途の戦略作物生産に振り向け、主食用米以外も含めて米全体の需給のバランスを取る必要がある。
「政府は米の増産から需要に応じた生産へ路線転換し、安定供給に懸念」との指摘は全く当たらない。農水省は生産量の目安を示すが、各県・各地域の自主性を重視しており強制はしていない。食糧法の見直しでは「生産調整」の条項を削除し、「需要に応じた生産」という条項を新設する予定。政府は輸出促進や生産性向上など支援策は講じるが、強制はしない。
主食用米の増産による需給緩和と価格下落対策としての輸出促進や直接所得補償は難しい。輸出は競争力や生産コストの面で容易ではなく、過去のような政府在庫買い上げは財政負担・国民負担が生じるので避けたい。主食用米以外も含めて需要に応じた生産に転換することが望ましい。
生産者への直接所得補償については、過去に1反当たり1万5千円の個別所得補償制度を実施した際に、取引への悪影響や生産意欲の減退を招き廃止された経緯がある。水田活用の直接支払い交付金を通じて、主食米より単価が低く、実需がある他の用途の生産へ誘導する。交付金見直しは、生産性向上などへの支援に転換する見込みだ。
生産性向上には「にじのきらめき」のような多収性品種やブレンド米(複数原料米)の普及が有効。ブレンド米は単一原料米ではなく、品質を損なわずに低価格で提供できる可能性があり、流通面で安定化に寄与する。県ごとの改良研究や食味重視からの脱却を進めれば、外国人消費者にも日本産米として低価格での輸出に貢献できると考える。
JA常陸 代表理事組合長 秋山 豊 氏
常陸農業協同組合 代表理事組合長 秋山 豊 氏
現場では米価の問題以上に担い手不足が深刻化しており、40ヘクタールの水田を2人で担う状況にまで人が減った。10年前に60kg当たり9,500円へ米価が下落した頃から離農が急増し、中流域の平場でも田んぼから人が消えた。
今回の米不足の原因は2023年からの高温障害。38度超で乳白米やカメムシ被害が多発し、網下米(ふるい下米)が8%(通常1%)となるなど、米不足が3年連続したと見ている。消費者には農家を辞めずに済む適正価格の実現を強く望みたい。
自然災害と異常気象の常態化、海水温の高止まり、4月で29度・朝8時で30度超という異常高温で熱中症リスクが急増し、田植え前から作業が困難化している。農業機械での作業はとりわけ暑く、現場の課題は高温対策。
農業が生き残るためには、家族経営と適正規模化が鍵。大規模法人は労賃や燃料価格の上昇で、10市町村にまたがる240ヘクタールを50人で運営しても経営はギリギリ。30ヘクタール級の大型家族経営はコスト適合性が高く比較的安定している。8割を占める小規模農家には、基盤整備に協力してもらいながら、集落営農や近隣農家の集約で効率化し、有機米や中山間地域のミネラル豊富な水を使ったおいしい米作りなど、付加価値で条件不利を補う道が現実的だ。
輸入米の拡大には、長年の転作・減反の努力を踏みにじるものとして強く反対。海外では外貨獲得のための「飢餓輸出」や所得格差で生産者も困窮しており、食料安全保障の観点からも輸入依存は危険。希望する米価は60kg玄米24,000円(税込み5kg当たり3,400円相当)で、10アール20万円、10町歩で年間2,000万円の売上が必要水準と考える。
JA庄内みどり遊佐町共同開発米部会 会長 今野 修 氏
JA庄内みどり遊佐町(ゆざまち) 共同開発米部会 会長 今野 修 氏
生活クラブ生協と約50年提携し、生産者としては就農から30年、2代目としてササニシキ作りから歩みを始め、昨年9月には3代目の長男が就農。厳しい経営の中でも、顔の見える生協組合員との強い信頼関係を支えに、個人で21ヘクタールの田んぼを耕作。単なる生産と消費の関係を超え、濃い人間関係を築いてきた。
「米作りは土で作れ、麦は肥料で作れ」という。米は土で作る。土は人が作る。土を作るのに必要なのものは堆肥。主食用米の生産と併せて、農地の7割を占める中山間地域など条件不利地で飼料用米を生産し、㈱平田牧場に提供。その畜産堆肥を田んぼに戻す循環型農法を実践している。畦畔(けいはん)に除草剤を使うと草の根っこが無くなり、雨が降ると土壌が流出するため、飼料用米を含めて手刈り・機械刈りで対応。
加工用米と飼料用米の生産では、遊佐町では10アール(=1反歩、302.5坪)当たり7~9万円の差があるが、水田を畑地化すると硬盤がひび割れて保水性がなくなるため、飼料用米の生産を続けて「田んぼダム」を守っている。
畜産業界は海外情勢不安で飼料が高騰し、堆肥の処理でも苦しんでいる。田んぼに堆肥を入れて循環型農業にすれば、飼料用米を更に作り、みんな丸く収まるはずだが、どこか一つ、お金を出し渋る所があって、そこが全てを止めている。
農業は事業で会社の運営と変わらない。製造業やIT・サービス業は利益を上げても誰も文句を言わないが、農業に対しては「食でもうけるな」「安くならないか」と、利益を出してはならない空気になっている。これでは後継者は育たない。2000年から2024年の間に、米農家は1/3になっている。
一生懸命に米を作っても、売り手良し・買い手良し・世間良し――三方良しの価格にはなっていない。生協組合員が来て、小中学校で食育をして、遊佐町の農業を理解してもらって、食べる側と作る側の距離を縮めている。そうした関係を次の世代にもつなげていきたい。
株式会社フェルマ木須 代表取締役 木須 栄作 氏
株式会社フェルマ木須(きす) 代表取締役 木須 栄作 氏
20歳で就農してから現在は80ヘクタールを経営し、26人の従業員と共に米・麦・大豆などの土地利用型農業を行い、種まきから袋詰め・精米・精麦など顧客に近い段階まで製品化して販売している。農地整備事業にも取り組み、経営拡大と地域への供給力強化を図っている。
8年前に法人(フェルマ木須)を立ち上げ、資材高騰などの課題はあるが、将来的には500ヘクタール・従業員50人規模を目指し、県内外の農業法人や農家と連携して国産小麦のロットを拡大し地域生産を牽引する構想がある。
人と設備への投資が不可欠と認識し、人が増えても回る仕組みとして、営農管理や農業機械を活用したスマート農業でスケジュールを見える化している。思考力を育てる社内研修にも力を入れ、農業を志す若手を守り育てる農業の在り方を考えている。
生活クラブ生協(埼玉) 理事長 村山 なみ 氏
生活クラブ生協(埼玉) 理事長 村山 なみ 氏
私たちは山形・長野・栃木・宮城各県の4産地と協同して共同開発米の共同購入を進め、定期的な産地訪問や草取りなど水田保全の活動を通じ、生産者と消費者が互いに学び合う関係を築いている。
年3回ほど開催する産地推進会議では、栽培状況や栽培基準、契約数量・価格を協議し、資材コストを明示した上で、若い生産者の意欲を高め、作り続け、食べ続けられる適正価格を設定している。
山形県遊佐町とは50年以上の提携関係があり、主食米に加えて飼料用米や循環型農業、エネルギー自給といった地域ぐるみのローカルSDGsに取り組んでいる。遊佐中学校の総合学習にも参加するなど、生産者交流・見学会で消費者の理解と支持を広げ、生協産直のファンや関係人口を増やす努力を続けている。
価格上昇や家庭内在庫の影響で予約登録米の利用変動も見られるが、新規受け付けを再開するとともにフードバンクに米を寄付する「お福分け」を通じて地域住民と助け合える関係づくりを重視。5kg約2,000袋の米を寄付するとともに、今回の米不足では新しい組合員のために5kgの規格を3kgに変更して分け合って対応してきた。
今後も気候危機や担い手不足、国の農業政策の在り方を踏まえて生産者と組合員が協同して解決策を模索し、他の生協とも連携して子どもたちに安心して国産米を食べさせられるように政府への働き掛けを続けていきたい。
東都生協 戸田梓組合員常任理事
東都生協 戸田梓組合員常任理事
令和の米騒動では毎日のくらしに欠かせない米を巡り大きな不安が広がった。組合員・生産者関係者が米の緊急集会を開催し、どうやって米を守っていくのか話し合う中で、これまでの「登録米」を「約束米」へ深化。消費者が食べ続け、生産者が作り続けることを互いに約束することで支え合う取り組みを進めている。
作る人がいなければ田んぼはすぐに荒れ果てる。水田では食料生産だけではなく、洪水を防ぎ、水を蓄え、地域と景観を守る大切な役割がある。一粒の米、一つの水田を守ることは、私たちのくらし守ることそのもの。田園、環境、地域を守るために日本の米を選択する一人一人の小さな行動が、米の未来を守る力になる。
2026年に新たに産直委員会を立ち上げた。私たちは設立から半世紀がたち、コミュニティの在り方は大きく変化している。産地交流、米の適正価格について見つめ直し、産地と手を取り合って一歩ずつ確かな未来へ歩みを進めていきたい。
生活協同組合コープ自然派奈良 理事長 上市 佳織 氏
生活協同組合コープ自然派奈良 理事長 上市 佳織 氏
水稲作付け農家数はこの5年間で25%減少している。農家は全人口の1%にも満たない。私たちは未来の食と農と環境を守るため、有機の学校を2校立ち上げるなど、生態系調和型農業を実践し、有機農家が農業で生きていける収入を得ることを応援している。
政府が推進する水田の中干し期間延長や田んぼに水を張らない節水型乾田直播は、水田を中心とする生物多様性を阻害し、除草剤を必須とする農業となる恐れがある。中干しをしなくてもメタン・硫化水素が発生しない、温暖化対策と生物多様性保全を両立できる栽培方法を確立・実践している。
2025年からは生協職員を農業機械のオペレーターとして養成し、5年間で供給量の10%の自主生産を目指す取り組みを開始。いのちの循環を考える時、種こそ守らなければならないと考え、自分たちで育て、収穫した種を翌年につないでいる。
組合員の選ぶ米の半数が有機・無農薬米。ネオニコチノイド系農薬を排除する意思を示した農家を「ビオトープ米」として支えている。毎日のご飯1杯から始まる物語をみんなで紡いでいきたい。
生活協同組合連合会アイチョイス一宮生活協同組合 組合員理事 田辺 有里 氏
生活協同組合連合会アイチョイス一宮生活協同組合 組合員理事 田辺 有里 氏
消費者目線では価格、安さも大切。しかし安さで米を選び、国産米が高いという理由で外国の米に頼り続けたらどうなるか。その背景で農業が続けられず、農家が守ってきたものが失われたとしたら、そこに関心を寄せなかったつけは、形を変えて返ってくる。
田んぼは米を育てるだけの場所ではない。雨を受け止め、生き物を支え、地域の風景と文化を守っている。価格だけが価値ではない。田んぼによって守られている機能、農家の役割に目を向けなければならない。
持続可能な価格とは、田んぼが持つ多面的な役割や、今まで引き継がれてきたものを未来につなげられる価格。田んぼをコストとして見るのと、私たちのくらしや社会の土台として見るのとでは見える景色が変わる。米を作ることはできなくても、日々の生活の小さな気付きと選択で、来年もその先も、豊かな田園を未来に引き継ぐことができると考える。
一般社団法人グリーンコープ共同体 代表理事 日高 容子 氏
一般社団法人グリーンコープ共同体 代表理事 日高 容子 氏
九州・中国・関西地方の16生協43万人が集う生協。生産者は、組合員の安心・安全な食べ物がほしいとの願いに応え、環境を大切にした安心・安全でおいしい産直米「赤とんぼ米」などの生産に取り組んでいる。
米は再生産できるように「生産奨励金」を農法・栽培内容に応じて設定。生産奨励金は商品代金に含まれ、利用代金から積み立て、生産者に直接渡している。
米騒動の時、米の扱いがなくなった。主食が手に入らなくなるという事態を受けて、予約の仕組みをつくり、予約を優先して届けている。安心・安全な米を食べることで健康に、農業と環境を守り、安心・安全な米を継続して食べることが大切。
子どもたちの健やかな成長を願う思いを、利用を通じて実践し、家族の健康を守り、日本の農業を守ることにつなげていきたい。
生活協同組合パルシステム山梨・長野 理事長 古屋 滋子 氏
生活協同組合パルシステム山梨・長野 理事長 古屋 滋子 氏
約170万世帯が加入する生協として、米の消費拡大と生産支援を目的に、予約登録米の取り組みと併せて学習会や産地交流、日本型食生活を推進してきた。令和の米騒動では産地の協力で予約登録米は組合員に安定的に届けることができた。
2025年産米の価格は2倍となり、影響を受けるのは子育て世代。本年3月に米のコスト指標も示されたが、十分な食事を取れない多くの子どもがいる。こうした現状を踏まえた米政策が求められる。米の消費支援は子どもの健全な育成、離農防止、耕作放棄地拡大防止にもつながる。生産者と消費者の双方にとって持続可能な米政策・支援が必要。
水田の多面的機能による外部経済効果は極めて重要。水田は比較的少ない農薬・化学肥料でも生産が可能。ロシアのウクライナ侵攻では穀物価格の上昇・供給停滞が発生した。飼料用米を生産することは、輸入飼料依存からの脱却にもつながる。水田と畑地、それぞれの特性に応じた農作物生産の推進を、ぜひ支援してほしい。
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 会長 村上 彰一 氏
まとめ
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 会長 村上 彰一 氏
作山先生からの水田政策への問題提起、農林水産省・国枝課長からの水田政策の見直しへの考え方を受け、2027年からの水田政策の抜本見直しに向けて6生協の政策を取りまとめたい。
気候変動や自然災害が常態化する中で、主食用米が不足するという事態が現実に起きた。高温障害による乳白米、歩留まり低下など、主食用米の需要を性格に予測してギリギリのラインで生産し、価格を維持する今の方法は通用しなくなっている。
状況が変わっても、生産者には生産原価を補償し、安定した所得を得られるようにするのが一番。米の供給が滞ることなく、消費者が手に取れる安定した価格を維持するために、作山先生が提起した直接支払いは議論に値する。気候危機で生産者が減る中、生産をいかに持続可能にするか真剣に考える時期に来ている。
本学習会を起点に、各生協でさらに学習を深め、6生協で政策策定を急ぎ進め、2027年からの水田政策策定に向けて、政府に提出したい。今回の米騒動を無駄にせず、生産者と共に力を合わせて日本の米、水田を守り、農業を持続可能なものにするために力を合わせて頑張っていきたい。
【主催6生協 (呼び掛け団体)】
パルシステム生活協同組合連合会
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
生活協同組合連合会コープ自然派・オレンジコープ事業連合
生活協同組合連合会アイチョイス
グリーンコープ生活協同組合連合会
東都生協
