みんなの活動:これまでの活動報告

TPP問題に関する学習会を開催しました

TPP(環太平洋経済連携協定)の日本社会に及ぼす影響を学びました

2011.10.31

「食料は人々の命に直結する必需財」と語る鈴木宣弘教授

「食料は人々の命に直結する必需財」
と語る鈴木宣弘教授

2011年11月のAPEC首脳会議に向け、日本のTPP(※環太平洋経済連携協定)交渉参加についての議論がにわかに活発化してきています。

東都生協(コープ)の社会委員会は2011年9月26日、TPPに関する学習会を開催(会場:東都生協さんぼんすぎセンター)。講師に東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏をお招きし、TPP参加が日本社会に及ぼすものは何か、講演していただきました

東日本大震災復興のためにもTPPが必要だという議論が増えている現状を踏まえて、本来の震災復興はどうあるべきか、そして日本の農業・食料システムと日本社会の再生のために今何をするべきかについて、対案を示しながらのお話となりました。

鈴木氏は「TPPに関しては、ゼロか百かの極論ではなく、その中間にある現実的で適正なバランスある解を、双方が歩み寄って見つけるべきものであると」指摘。「TPPの議論を一つの契機にして、自らの安全な食をいかに確保していくかということについて、あらためて消費者一人ひとりが考えていかなければならない」と語りました。

また鈴木氏は「買いたたきや安売りをしても、結局誰も幸せになれない。食料に安さだけを追求することは、命を削ることと同じ。また、次の世代に負担を強いることにもなる」「みんなが持続的に幸せになれるような適正な価格形成を関係者が一緒に検討すべき」として、生産者と消費者を含めた国民全体にとっての食料の位置付けを再確認することの必要性を訴えました。

「狭い一部の利益、あるいは一部の情報だけに基づいてこの問題を拙速に進めてしまっては、日本の将来に禍根を残すことになる」「じっくりと時間をかけた議論を国民に喚起しなければ後で取り返しがつかないことになる」と鈴木氏は強い危機感を示しました。

当日は40人を超える参加があり、TPP問題の概要が分かりやすく提示され、それぞれが考える機会となり、非常に中味の濃い充実した学習会となりました。

参加者からは
「TPPが農業だけでなく生活全般に関わってくることだとよく分かりました。広い視野で見なくてはいけないとつくづく感じました」
「先生が大変よく研究されていて、楽しく分かりやすい講義でした。これからも意識を持ち続けることが必要だと思いました」
「あらためて問題点や今後の行動についても考えることができて良かった」
――などの感想が寄せられました。

TPP(環太平洋経済連携協定):
全ての関税・非関税措置の撤廃を目指すFTA(自由貿易協定)の一種。国内農業とその生産基盤、食品添加物規制やポジティブリスト、植物検疫の緩和など食の安全・安心や安定供給を脅かすにとどまらず、人・物・金融・サービス・公共事業など、あらゆる分野を市場開放の対象とする。東都生協は「日本の社会・経済・産業全般に影響が及び、経済効果が期待できるどころか、むしろ低迷に拍車をかけるもの。具体的な交渉内容も全く国民に知らされず、国民への情報提供や国会での論議も不十分」などとして、日本のTPPへの参加に反対する立場を2011年2月24日付で表明している。