みんなの活動:これまでの活動報告

「食料・農業・農村基本法」改正案に生協6団体が政府へ直接提言

「国内農業を守り、食料自給率向上へむけて!」~生協6団体が共同で策定した提言を発表し、衆議院第一議員会館で意見交換

2024.03.21
農林水産省・舞立政務官へ提言書を手渡す生協6団体

農林水産省・舞立政務官へ提言書を手渡す生協6団体

「食料・農業・農村基本法」改正に対し国内で積極的に活動を展開する生活協同組合6団体が、改正案への対応として2023年3月19日に農林水産省を訪れ、舞立昇治(まいたち しょうじ)政務官へ提言書を手渡しました。

「食料・農業・農村基本法」改正に対する提言はこちら(PDF)

その後、意見交換会「国内農業を守り、食料自給率向上へむけて!」を衆議院第一議員会館で開催し、生協6団体が共同で策定した提言を発表するとともに意見を表明しました。



提言内容の詳細と目的

日本国内の食と農が危機に直面し、食料自給率が先進国の中で最低水準で推移する中、政府は2月27日に「農政の憲法」と呼ばれる食料・農業・農村基本法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。1999年の制定を経て、25年ぶりの改正となる見込みです。

提言は、食料自給率の向上、適正な価格形成、環境の保全、そして消費者への正確な食品情報提供といった4つの重要領域にわたる15の具体的提案を含んでいます。これらは、国内の食料生産能力の拡張、農業従事者の確保、そして農業経営の持続可能性の向上などを目的とした施策を政府に要請するものです。

今回の訪問には、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会コープ自然派事業連合、生活協同組合連合会アイチョイス、グリーンコープ生活協同組合連合会、東都生協の6団体から代表が参加しました。

舞立政務官は、提言の概要を受けて「法が制定された当初の社会的背景を鑑みると、現行法は過度に輸入に依存しているとの問題提起があり、時代に即した法の改正が必要不可欠。提言は多方面にわたる重要な内容を含んでおり、詳細を検討したい。法改正を経た基本計画の策定に当たっても、引き続き意見を交換し、より包括的な支援策を模索するための持続的な見直しを推進していきたい」と応じ、提言の意義と重要性への認識を示しました。



産直に携わる400人近くが参加

意見交換会には、会場とオンラインを合わせて400人近くが参加。与野党からも多くの国会議員が出席し「消費者と生産者が一体となる産直に関わる生協ならではの提言の重要性を感じる」などのあいさつがありました。

開会に当たり、生協6団体を代表して、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長の村上彰一氏があいさつしました。続けて各団体が、提言を項目ごとに説明。パルシステム生活協同組合連合会副理事長の松野玲子氏からは国内農業・生産者を保護するための適正な価格形成について、生活協同組合連合会コープ自然派事業連合理事長の岸健二氏からは環境保全型農業・みどりの食料システム戦略について、生活協同組合連合会アイチョイス理事長の大宮隆博氏からは消費者の立場に立った食品安全について、それぞれ説明がありました。東都生協・風間理事長からは、食料自給率向上に向けた具体的な目標設定などを説明。

農林水産省からの説明、国会議員からの発言を挟み、参加した消費者、生産者からもそれぞれ、消費の現場、生産現場を代表した意見表明がありました。



東都生協・関係団体からの報告概要

主催者の1つとして提言の一部を説明した東都生協・風間理事長は「食料自給率の向上は食料安全保障のために不可欠であり、農業の多面的機能や脱炭素化の推進にも必要。具体的な目標を定めた対策と、担い手不足を解消する支援策が急務だ」と述べました。

東都生協・石渡副理事長は消費者として意見を表明。「市場価格に左右されない安定した生産基盤の構築、新規就農者の支援、経済的な負担が増え続ける生産現場の支援が急務。私たち消費者の声が、日本全国の産地を支える力になり得ると信じている。全国の消費者に対し、日本の農業が直面する危機的状況を訴え、未来の子どもたちのために、声を上げることが私たちの責任であり義務だ。私たちの提言が政策決定に当たって考慮され、実現することを切に願う」と提起しました。

生産現場からは千葉北部酪農農業協同組合代表理事組合長の髙橋憲二氏(東都生協産直生産者団体協議会会長)が登壇。「生産コストの増加に伴い、農業現場は厳しい状況に立たされている。私の周囲には、すでに農業を諦めざるを得なかった生産者もおり、深い危機感を抱いている。私たちが真に求めるものは、将来の世代へ農業を引き継ぎたいとの強い願いに応え、それを可能にする持続可能な農業政策の構築だ」と力強く訴えました。



食料自給率向上への具体的な施策など提言の一部を説明する東都生協・風間理事長


消費者の立場から東都生協・石渡副理事長が意見を表明


生産現場からの意見を表明する千葉北部酪農農業協同組合代表理事組合長・髙橋憲二氏


主催団体概要

パルシステム生活協同組合連合会
所在地:東京都新宿区大久保2-2-6 、理事長:大信 政一
グループ総事業高:2,530.9億円/組合員総数171.4万人(2023年3月末現在)
活動地域:13都県(宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡)
HP:https://www.pal.or.jp

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
所在地:東京都新宿区新宿6-24-20、理事長:村上 彰一
グループ総事業高:978.6億円/組合員総数41.8万人(2023年3月末現在)
活動地域:21都道府県(北海道、青森、岩手、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、愛知、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良)
HP:https://seikatsuclub.coop

生活協同組合連合会コープ自然派事業連合
所在地:兵庫県神戸市西区見津が丘3-8-5、理事長:岸 健二
グループ総事業高:265.8億円/組合員総数19.7万人(2023年3月末現在)
活動地域:10府県(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、徳島、香川、愛媛、高知)
HP:https://www.shizenha.net

生活協同組合連合会アイチョイス
所在地:愛知県名古屋市南区薬師通1-14、理事長:大宮 隆博
グループ総事業高:156.7億円/組合員総数13.2万人(2023年3月末現在)
活動地域:4県(岐阜、静岡、愛知、三重)
HP:https://ichoice-coop.com

グリーンコープ生活協同組合連合会
所在地:福岡県福岡市博多区博多駅前1-5-11、代表理事:西村 大輔
グループ総事業高:635.6億円/組合員総数43.3万人(2023年3月末現在)
活動地域:16府県(福島、滋賀、大阪、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)
HP:https://www.greencoop.or.jp

東都生活協同組合
所在地:東京都世田谷区船橋5-28-6、理事長:風間 与司治
総事業高:345.5億円/組合員総数25.6万人(2023年3月末現在)
活動地域:4都県(東京、埼玉・千葉・神奈川の一部)
HP:https://www.tohto-coop.or.jp