食と農を未来につなげる東都生協の食育

「食と農」を事業と運動の基軸におく東都生協では、安全で良質な食べ物を次世代にも受け継ぎたいとの思いから、産直産地・メーカーと共に食育を進めています。そこでは健康な心と体を育む「農から学ぶ食育」が基本。生産現場での学びや体験を重点に置く生産者との交流企画など、一人ひとりが食に興味や関心を持ち、食に対して主体的に向き合う食育を進めています。

作る現場を知り、確かめる活動

農作業を通じて、生産の苦労や喜び、生産物への感謝などを体験します。併せて産地が抱える問題や日本の農業事情を知るきっかけとし、消費者として何ができるかを考えます。

枝幸「魚つきの森」植樹体験・交流

枝幸(えさし)魚(うお)つきの森

東都生協と北海道の産直産地、枝幸(えさし)漁業協同組合、北海道漁業協同組合連合会は2007年に「枝幸魚(うお)つきの森植樹協議会」を立ち上げました。

オホーツク海に面した枝幸の海は、毛がに、ほたて、鮭など海の幸の宝庫。森林からのきれいな水や養分が流れ、プランクトンが活性化することで豊かな海を育んでいます。

この協議会では、河川上流部の森林にヤチダモを植樹する活動などを行っています。こうした生産現場での取り組みに東都生協組合員が参加することで、共に生命の源である川と海を守り育て、漁場・資源管理型漁業で生産された水産品の利用を通じて、次世代にその豊かな環境と資源を残そうとしています。

春には鮭の稚魚やほたて稚貝の放流、秋は鮭の採卵や水揚げの見学など、枝幸の大自然に触れる企画も実施。また都内に産地・女性部の皆さんを招き、北海道の鮭やほたてを使った料理を習い、試食しながら交流する「海の幸料理教室」も行っています。生産者との交流を通じ、豊かな海を守っていくことや日本の漁業のあり方を共に考えています。

産地やメーカーから学ぶ活動

生産のこだわり、食の流通経路などを総合的に学びます。生産者とじっくり本音で語り合い、充実した交流を通じ、相互理解を深めていきます。

原料や工程など作り手のこだわりを体感

ソース・ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングなどの製造メーカーユニオンソース㈱の日光工場を東都生協組合員が視察しました。工場は食品工場にふさわしく、清潔な環境です。

同社が扱う香辛料(セージ、タイム、ローレル、シナモン、黒こしょう、ナツメグ、クローブ)の説明を受け、その種類の多さと、試行錯誤をしながら配合にこだわっていることに、参加者は驚いている様子でした。香辛料の粉砕室では、ソースの個性に合わせて調合している様子や、製造直前に自家挽きしていることが確認できました。

同社で製造する東都無着色ソースは、でんぷん、増粘剤を一切使用していません。またカラメル色素などの着色料も使用しないので、トマトを中心とした野菜・果物本来の色が出ているのが特徴です。

マヨネーズは安全な産直卵を全卵使用し、ケチャップの原材料も国産完熟トマト100%。マヨネーズ、ケチャップとも化学調味料不使用、非遺伝子組換え原料を追及した、添加物のない、安全・安心な商品です。

メーカーが組合員の声に応え、これだけ原材料にこだわり、製造にもこだわっていることに、参加者は理解を深めることができました。

作る現場を知り、確かめる活動

食について学び、食生活を見直す機会を設けています。日本型食生活の栄養面やバランス面を考え、具体的に料理して味わうことから実践しています。また、日本の四季の変化を生かした旬の食材をおいしく食べることも知らせていきます。

「すてきな・和・食・生活」

管理栄養士を講師に招き、食育の取り組み・和食のおいしいだしの取り方を学びました。 

講師からかつおの部位の詳しい説明を受けたり、本枯れ節を削り器で削りお湯だけで試飲したり、一番だし・二番だしの味の違いを体験します。

講師の「食は子どものころの体験が財産になる」との話に、食事にひと手間をかける大切さを感じ、和食を通して普段の生活文化を見直す機会となりました。

和食の良さが見直されている時代。基本となるだしについて学ぶことは、家族の健康を考える機会にもなります。