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2019.02.20

ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上取扱い(案)に対する意見

東都生協は厚生労働省に「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上取扱い(案)」に対する意見を提出しました。

2019年2月18日

厚生労働省医薬・生活衛生局
食品基準審査課 新開発食品保健対策室 御中


ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱い(案)に対する意見

東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也


 私たち東都生活協同組合は、東京中心に24万余の組合員が、いのちとくらしを守るための活動をおこなっている消費生活協同組合です。組合員の願いである安全・安心な食を未来に渡って安定的に手にするため、全国の産地やメーカーと共に持続可能な社会に向けて活動しています。

 今回、「ゲノム編集技術」が食品という身近なところで実用化されようとしていますが、健康な暮らしを営む上で根底となる食の分野での取り扱いであることを重く受け止める必要があると考えます。
 特に食品の多くを輸入に頼る我が国において、「ゲノム編集技術」に対しての見解だけではなく、日本が輸入している各国での食の生産、製造の実態と合わせて検証する事も求められます。
 つまり、「ゲノム編集技術」に関して食品衛生上の問題が生じる可能性がないとは言えない中で、更に他の技術を応用した食品を摂取した時の複合的なリスクも合わせて注視していく必要があると考えます。
 消費者が求める健康な暮らしを実現する上で、その不安や懸念に応える対応を切に望むとともに、以下に意見を申し述べます。

消費者が理解できる情報提供と説明を徹底しておこなう姿勢を貫くこと
 私たちの健康やいのちに直結する食において、食品衛生上の問題が生じる可能性が否定できない中で、時間や手間に縛られる事がなく、しっかりと消費者に理解されるリスクコミュニケーションの徹底が求められます。
 先ずは、組換えDNAや従来の育種との違いはもちろんのこと、そもそもゲノム編集技術を応用することでのメリット、デメリットを広く消費者に理解されるように対応してください。また、我が国の食の将来的な安定も考慮し、国民の健康といのちを守る立場で対応される事を望みます。

消費者が適確に選択できる環境や条件をつくること
 理解が進まない中では、この技術を利用した食品等を選択したくない消費者が多い事が想定させます。この様な状況の中で消費者が確実に選択できる制度が必要です。知らず知らずのうちに食べていた、もしくはその様な状況の中で後から安全性に対する問題が発覚したなどの事態が生ずれば、この技術に対する消費者の不信感は一層増大すると考えられます。
 特にゲノム編集技術を利用した農畜水産物について、従来の育種と外見上の違いが分からない場合もある中で、取扱事業者が責任を持って、生産・流通の管理を徹底し、最終的に表示するなど、消費者が正しく選択出来るような仕組みづくりを進めて下さい。

国としての管理・監督責任を明確にし、消費者の不安や懸念に応える仕組みにすること
 最も重要視すべきは国民の安全を守ることです。食品の多くを輸入している日本において、どの様に情報の届け出を担保させるのか、また国として輸入を認めるのか、その仕組みについて抜け穴のないようにしてください。
 なお、少なくとも消費者の理解が促進されるまでは、情報の届け出の実効性を十分に確保するために、法的な義務化を検討されることを望みます。

以上