プレスリリース

報道各位
2018.06.13

エネルギー基本計画改定に向けた要望書を提出しました。

東都生協は6月12日(火)世耕弘成経済産業大臣に対し、エネルギー基本計画改定に向けた要望書を提出しました。

2018年6月12日

経済産業大臣
世耕 弘成 様

エネルギー基本計画改定に向けた要望

東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也

 私たち東都生活協同組合は、東京中心に24万余の組合員が、いのちとくらしを守るため、全国の生産者と共に持続可能な社会に向けて活動する消費生活協同組合です。東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の直後から、被災地支援と食の安心確保、原発依存からの脱却と再生可能エネルギー推進に向けて取り組んできました。
 東日本大震災に伴い発生した福島第一原子力発電所事故は、7年が経過した今も依然として収束をみせていません。史上最悪レベルとされる原発事故で漏出した放射性物質は、国民生活に深刻な影響を及ぼし続けています。今後、同様の事故が起きることは決して許されず、その可能性を少しでも減らしていかなければなりません。
 今回のエネルギー基本計画改正に向け、資源エネルギー庁が示した骨子案では、再生可能エネルギーを2030年のエネルギーミックスの電源構成比率において主力電源化を目指すことが織り込まれました。
 しかし、一方では、原発依存度を可能な限り低減し、非効率石炭を段階的に減らすことを示しながらも石炭火力発電と原子力発電を重要なベースロード電源と位置付けています。原発事故のリスクや、使用済み核燃料、放射性廃棄物の処分問題などを鑑みれば、再生可能エネルギーを最大重視し、その推進施策を強力に行うことこそが次世代につながる政策であることは明白です。
 また、2030年に向けた開発目標(SDGS)における目標設定やパリ協定の採択など、脱炭素社会に向けた取り組みが求められる中、石炭火力発電と原子力発電に依存したエネルギー政策を継続することは、世界的潮流との格差につながります。
私たちは、エネルギー基本計画の改定によって再生可能エネルギー比率を高め、持続可能な社会の実現につながるよう、以下の点を要望いたします。

1.全ての原子力発電施設の稼働を停止し、廃炉とすることを求めるとともに、新設しないこと
 骨子案では、原子力発電を「可能な限り原発依存度を低減する」と示しながらも、長期的なエネルギー構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置づけています。原子力発電は、使用済み核燃料の処理、高レベル放射性廃棄物の処分問題、廃炉や事故リスクなど、安全性のみならず、経済的合理性も欠いています。また、原子力発電におけるすべての判断の大前提として、安全性の確保と国民の理解が最優先されるべきです。原発再稼働への反対が、賛成を上回る世論の中、原発を再稼働することは国民意識から著しく乖離した行為です。

2.再生可能エネルギーの主力電源化に向けた施策を強力に進めること
 骨子案では、再生可能エネルギーを、環境負荷の低減を見据えつつ活用していく、重要な低炭素の国産エネルギー源であるとしながら、「主力電源化への布石を打つ」にとどめ、2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比の再生可能エネルギー比率を据え置きのままとしました。
現段階でも、国内にいて再生可能エネルギーの電源構成比率は15%程度まで進んでいます。2030年までの目標を22~24%とすることは、あまりにも低い水準であり、世界的潮流との格差が広がるばかりです。

3.現行の石炭火力発電所の新設計画を中止するとともに、輸出政策を改めること
 骨子案では、石炭火力発電を温室効果ガスの排出量が大きいことを認識し、非効率石炭を段階的にフェードアウトすることを示しながらも、安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源としています。石炭火力発電は、高効率の設備でも二酸化炭素排出量が天然ガス火力の約2倍ともいわれており、地球温暖化対策に相反すると同時に、パリ協定の発効を受けた、わが国の2030年度におけるCO2排出量26%削減(2013年度比)の目標達成を阻害するものとなります。

4. 原子力発電と石炭火力発電をベースロード電源とする考え方を改め、 再生可能エネルギーに置き換えること
 長期エネルギー需給見通しにおける2030年の電源構成(エネルギーミックス)は、原子力20~22%再生可能エネルギー22~24%のまま改定なく、実現に向けた取り組みを強化することが示されました。原子力発電をめぐる状況と、パリ協定が求める脱炭素化を踏まえれば、持続可能性が高く、国内自給が可能な再生可能エネルギーを最大限重視すべきです。わたしたちは、次世代につながる再生可能エネルギーの拡大を主軸としたエネルギー基本計画を策定し、その計画を強力に推進することを求めます。

5. エネルギー政策は、国民参加による議論・選択をすべき
 私たち国民は、徹底した省エネルギー、エネルギー利用のスマート化、人口減少など日本社会の構造変化に対応したエネルギー消費のあり方を追求し、エネルギー使用量の大幅削減を目指すべきです。そのためには、国民に分かりやすく情報が公開され、国民がエネルギー政策形成の過程に積極的に参加できる仕組みづくりを構築することが必要不可欠です。エネルギー基本計画の策定にあたっては、審議会での議論や国民からの意見募集(パブリックコメント)だけでは不十分であり、分かりやすい情報公開の下で国民参加による議論を行い選択すべきです。

以上