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2018.01.30

エネルギー基本計画見直しに関する要望書を提出しました

 東都生協は1月30日(火)、安倍晋三内閣総理大臣、世耕弘成経済産業大臣に対し、国内外の情勢を踏まえ、持続可能な社会に向けて、原発依存からの脱却と再生可能エネルギーを推進する立場から、現行の原子力発電や石炭火力発電を「重要なベースロード電源」と位置付ける「エネルギー基本計画」の見直しに関する要望書を提出しました。

2018年1月30日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
経済産業大臣 世耕 弘成 様

東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也

エネルギー基本計画見直しに関する要望

 私たち東都生活協同組合は、東京中心に23万余の組合員が、いのちとくらしを守るため、全国の生産者と共に持続可能な社会に向けて活動する消費生活協同組合です。東日本大震災に伴う福島第一原発事故の直後から、被災地支援と食の安心確保、原発依存からの脱却と再生可能エネルギー推進に向けて取り組んできました。

 東日本大震災に伴い発生した福島第一原子力発電所事故は、まもなく7年が経とうする現在も依然として収束をみせていません。史上最悪レベルとされる原発事故で漏出した放射性物質は、国民生活に広範かつ深刻な影響を及ぼし続けています。今後、同様の事故が起きることは決して許されず、その可能性を少しでも減らしていかなければなりません。原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置付ける現行のエネルギー基本計画の下で2015年に策定された「長期エネルギー需給見通し」では、2030年の電源構成における原子力発電の比率を20~22%と設定しています。原発事故のリスクや、使用済み核燃料の処理、高レベル放射性廃棄物の処分問題、廃炉などを鑑みれば、再生可能エネルギーを最大重視し、その推進施策を強力に行うことこそが次世代につながる政策であることは明白です。

 また、国内では石炭を使った火力発電所の新増設が進み、約40もの新設計画があると聞いています。これらが実行されれば温室効果ガスの排出削減はまったく進みません。イギリス、フランスなどに象徴されるように諸外国では石炭火力発電所の全面閉鎖を計画しており、脱石炭が大きな潮流になっています。こうした動きにも関わらず、日本が成長戦略の一環として火力発電所輸出を積極的に推進していることは、世界の動きに逆行していると言わざるを得ません。石炭火力発電は、たとえ高効率の発電設備であっても温室効果ガスの排出抑制にはつながりません。

 世界の潮流からも原子力発電と石炭火力発電をベースロード電源とする考え方を改め、 再生可能エネルギーに置き換えていくことこそが、本来のあるべき姿と考えます。私たちは、エネルギー基本計画の改定によって再生可能エネルギー比率を高め、持続可能な社会の実現につながるよう、以下の点を要望いたします。

  1. 原子力発電は、使用済み核燃料の処理、高レベル放射性廃棄物の処分問題、廃炉や事故リスクなど、安全性のみならず、経済的合理性も欠いています。更に、すべての事項を判断する大前提として、安全性の確保と国民の理解が最優先されるべきです。原発再稼働への反対が賛成を上回る世論の中、原発を再稼働することは国民意識から乖離した行為です。全ての原子力発電施設の稼働を停止し、廃炉とすることを求めるとともに、新設しないことを求めます。
  2. 石炭火力発電は、二酸化炭素(CO2)排出が多く、同じ火力でもガス発電の約2倍ともいわれています。石炭火力発電所の新設計画の推進は、地球温暖化対策に相反すると同時に、パリ協定の発効を受けた、わが国の2030年度におけるCO2排出量26%削減(2013年度比)の目標達成を阻害するものとなります。現行の石炭火力発電所の新設計画を中止するとともに、輸出政策を改めることを求めます。
  3. 長期エネルギー需給見通しにおける2030年の電源構成(エネルギーミックス)では、非化石電源の比率を44%(再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%)とすることが設定されています。しかし、原子力発電をめぐる状況と地球温暖化対策の観点から考えれば、持続可能性が高く、国内自給が可能な再生可能エネルギーを最大限重視すべきです。次世代につながる再生可能エネルギーの拡大を主軸としたエネルギー基本計画を策定し、その計画を強力に推進することを求めます。
  4. 私たち国民は、徹底した省エネルギー、エネルギー利用のスマート化、人口減少など日本社会の構造変化に対応したエネルギー消費のあり方を追求し、エネルギー使用量の大幅削減を目指すべきです。そのためには、国民に分かりやすく情報が公開され、国民がエネルギー政策形成の過程に積極的に参加できる仕組みづくりを構築することが必要不可欠です。エネルギー基本計画の策定にあたっては、審議会での議論や国民からの意見募集(パブリックコメント)だけでは不十分であり、分かりやすい情報公開の下で国民参加による議論を行うべきです。

以上