プレスリリース

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2014.06.09

政府に集団的自衛権の行使容認に反対する意見書を提出

東都生協(コープ)は6月9日、安倍晋三内閣総理大臣に対し、以下のとおり「憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に強く反対する」意見書を提出しました。 意見書全文(PDF)

2014年6月9日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様


東都生活協同組合
理事長代行 庭野 吉也



憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に強く反対します



私たち東都生活協同組合は、日本の首都・東京で23万余の組合員を組織し、よりよいくらしと平和な世界の実現に向け活動する消費生活協同組合です。私たちは、いのちとくらしを守り、安心して暮らせる平和な社会を協同して実現していくことを目指す立場から、貴政権が憲法の解釈変更によって集団的自衛権の行使を容認しようとしていることに強く反対します。

昨年12月、政府・与党は国民の知る権利を侵害し、民主主義の根幹を揺るがす特定秘密保護法を強行採決で成立させました。4月には憲法の平和主義に基づき武器輸出を禁じた武器輸出三原則を撤廃して防衛装備移転三原則を閣議決定し、軍需産業の振興に乗り出しています。さらには、戦争への道を開く集団的自衛権の行使容認を、憲法改正によらず憲法解釈の変更だけで進めようとしています。こうした内容とその手法は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という憲法の大原則を逸脱し、国の在り方を覆すものとして、到底受け入れることはできません。

国際法上、国家は自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する集団的自衛権を有しているとされています。しかし、歴代の政府は「憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきで、他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されない」との見解を示してきました。

これは日本国憲法が、その前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにする」ことをうたい、第9条で戦争放棄、戦力不保持および交戦権否認を定めるなど、平和主義を基本原則としてきたからです。この平和憲法の下、日本は悲惨な戦争の教訓と痛切な反省に立ち、国際紛争が生じた際も、武力に依らず平和的に解決する立場を堅持してきました。紛争の絶えない今日にあっても、先駆的な意義を有するものといえます。東アジアの緊張など国際情勢に対しても、平和憲法の理念を貫き、粘り強い平和外交によって解決すべきものと考えます。

国の最高法規として、国家による権力の乱用から主権者・国民の権利を守るのが憲法です。時の政権の意のままに憲法解釈を変え、集団的自衛権を行使できるようにすることは、立憲主義を否定し、民主主義を根底から覆すものであり、法治国家として決して許されることではありません。集団的自衛権をめぐる議論は深まったとはいえず、広く国民の理解が得られたといえる状況にはありません。このような日本の将来を左右する重要な問題は、国民に情報を公開し、政府の考えを分かりやすく説明した上で、時間をかけて国民的な議論を尽くすことを求めます。

以上