プレスリリース

2012.04.06

笑顔のある食卓をつくりたい 第四話(放射能対応)


被災した(有)日向(ひなた)養豚を訪れる風間常務(中央)

放射能問題を乗り越え、食の安心を未来へつなげます



東都生協 常務理事 風間 与司治
つながり続けることの大切さ
東日本大震災から1年が経ちます。被災地を訪れるたびに、徐々にではありますが、復興の息吹が感じられるようになりました。炊き出し支援を続けてきた宮城県牡鹿半島の表浜ではわかめの収穫が始まり、(株)マルダイ長沼商店の水産工場は、一部再開できるまでになりました。炊き出しも最初は言葉少なく、受け渡すだけのこともありましたが、回を 重ねるごとに、笑顔があふれ、会話も弾むようになってきたと感じています。小さな活動ですが、つながり続けることの大切さを学びました。

産地の努力を踏みにじる放射能問題
福島第一原子力発電所事故による放射性物質の問題は、組合員の生活はもちろん、長年東都生協とともに産直の歩みを続けてきた産地に大きな傷跡を残しました。組合員に安全・ 安心なものを食べてほしいと、真面目にそして真剣に取り組んできた産地ほど、大きく深い傷を受けました。
昨年9月に静岡県藤枝市の「人と農・自然をつなぐ会」を訪ねました。その会では30年以上も化学合成農薬や化学肥料を使わずに、良い土をつくり安全で良質な茶作りを確立してきました。そこに突然の放射性物質による汚染問題…。代表の杵塚敏明さんの悔しさ、生産者の落胆は計り知れるものではありませんでした。

38年間積み重ねた産直の絆
しかし、38年間、多くの組合員と共に続けてきた「産直」には、震災や津波による被害、そして放射性物質の問題に負けない強さがあります。
震災直後、買いに行けばいつもある商品が店頭からなくなった際、東都生協の産直産地には「なんとかして組合員に商品を届けたい」という思いがありました。計画停電の中、深 夜に従業員総出で牛乳を製造した千葉北部酪農協、機械が使えず手作業でたまごの包装をした(有)匝瑳ジーピーセンターやJAやさと。「東京の水が危ない」との報道を受けた大分県の下郷農協からは約900本のペットボトルが届きました。まさに離れていても心はひとつ。産直の絆を感じました。
もちろん、杵塚さんもそんな産直の魂を持つ生産者の一人。こんな状況には負けません。東都生協の検査では基準値以下と確認されているにもかかわらず、安全性への妥協なき思いから、2011年産の年間収穫量の85%にあたる一番茶と二番茶の廃棄を、全生産者との話し合いで決断。今年の新茶収穫に向けて準備を怠らず、その目は未来に向いています。

日本の食を守ります
現在日本の食料自給率は約40%ほどで、日本人が食べるものの大部分を輸入に頼っています。さらに現在のTPP交渉次第では、国内の農畜産業はより厳しい状況になることも予想されます。放射性物質の問題も長いたたかいになります。
しかし、この大震災のさなか、あらためて実感できた組合員と産地のつながりには、この試練を乗り越えられる強さがあると信じています。
東都生協は、放射性物質の問題に真正面から取り組みながら、安心できる日本の食の基盤が作れるように、根を張った活動を続けていきます。
放射能問題を乗り越え、食の安心を未来へつなげます(pdf)

「新基準」に対応した放射能検査を進めています


「ゲルマニウム半導体核種分析装置」は、核実験や原発事故などで大量に放出される放射性物質のうち、放射性ヨウ素131、同セシウム134、同137などのガンマ線を検出します。迅速性よりも正確性が求められる第2段階のモニタリングにも使われる高性能機器です。東都生協では原則として1検体約70分間、検出限界値は概ね1ベクレル/kgと、より正確で高精度の測定が可能です。
東都生協の残留放射能自主検査(pdf)

みんなで知恵を出し合い、話し合っています


東都生協では、組合員・生産者が主体となって、放射性物質に関する学習会を開いています。また、産直産地では、手探りながら、放射性物質への対策をすすめています。
放射線防護学が専門の安斎育郎氏講演会(2/10)、フォトジャーナリスト・野田雅也氏、全国消費者団体連絡会事務局長・阿南久氏、産直産地の代表者を招いてのパネルディスカッション(2/11)の様子

原子力発電に対する東都生協の考え方


東都生協は、食と農、いのちとくらしを守る立場から、すべての原発の早期停止・廃炉と再生可能エネルギーへの転換を国に求めると共に、原子力発電に依存しない持続可能な社会づくりをすすめます。
原子力発電に対する東都生協の考え方