プレスリリース

報道各位
2012.03.21

政府に「原発の早期停止・廃炉を求める要請書」提出


要請書は内閣府大臣官房の担当官に手渡しました
東都生協(コープ)は3月19日、福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の問題に関して、日本政府に対し「原子力発電の早期停止・廃炉を求める要請書」を提出しました。

要請趣旨は、「政府と電力会社主導の原子力・エネルギー政策が、国土、農畜水産物の放射性物質による汚染や被ばく、また全国の産地・メーカーの生産活動への打撃という取り返しのつかない事態に帰結した」として、食と農、いのちとくらしを守る立場から、全ての原子力発電施設の稼働を早期に停止し、廃炉とすると共に、再生可能エネルギーを利用した発電への転換を行うことを求める内容となっています。

2012年3月19日

内閣総理大臣 野田 佳彦 様

東都生活協同組合
理事長 庭野吉也

原子力発電の早期停止・廃炉を求める要請書



私たちは、東京都内を中心として活動し、23万余の組合員を組織する消費生活協同組合です。
東日本大震災に伴い発生した福島第一原子力発電所事故は、1年が経った現在も依然として収束をみせていません。史上最悪レベルとされる原発事故で漏出した放射性物質は土壌や海洋、大気に拡散して食品・資材などを汚染し、国民生活に広範かつ深刻な影響を及ぼしつつあります。今回制御不能の事態に陥ったことは、原子力技術や管理体制が未確立である上に、多くの活断層を抱える地震国という最も適さない条件下にあることの重大な危険性を示しています。

食品中や地域での放射線検出の報告も後を絶たず、常に内外からの被ばくに脅かされています。また、放射能汚染と風評が、全国の産地・メーカーの生産活動にも大きな打撃をもたらすなど、消費者と生産者のくらしは共に困難な状況に立ち至っています。今後私たちは、相当の長期間にわたり、放射能汚染の問題と向き合って生活せざるをえないのです。今後同様の事故が起きることは決して許されず、その可能性を少しでも減らしていかなければなりません。

当組合はこれまで、1986年のチェルノブイリ原発事故、1999年の東海村JCO臨界事故に際して、国に対し原子力発電での徹底した安全確保と情報公開を要請してきました。しかし今回も、政府や電力会社による管理・運営体制の不備が次々と露呈しています。事故対応の遅れや情報の隠ぺい、健康影響へのあいまいな説明も、原子力行政の信頼を大きく失墜させるものでした。放射性廃棄物の処分問題も未解決ないま、これ以上原発の存続を容認することはできません。

政府と電力会社主導のエネルギー政策が、国土、農畜水産物の放射性物質による汚染、そして人体の被ばくという、取り返しのつかない事態に帰結しました。
当組合はあらためて食と農、いのちとくらしを守る立場から、下記のことを要請します。


【要請事項】
  全ての原子力発電施設の稼働を早期に停止し、廃炉とすると共に、再生可能エネルギーを利用した発電への転換を行うこと。

1.既存の原子力発電施設は、老朽化およびリスクの高い施設より順次廃炉とし、原子力発電施設の新規増設は行わないこと。
2.全ての原子力発電施設の停止・廃炉に至る過程では、安全対策の抜本的強化と徹底した情報公開を行うこと。
3.使用済み核燃料の再処理の中止と、将来にわたって安全な処分方法の確立を行うこと。
4.再生可能エネルギー利用を中心としたエネルギー政策への転換とその具体的な施策を行うこと。
5.再生可能エネルギーの普及と共に、高効率発電設備の導入や地域におけるエネルギー資源の有効活用を行うこと。
6.電力会社が地域ごとに電力事業を独占している現在の体制を抜本的に改め、自由化を進めること。
7.発送電分離と併せて、原子力・化石燃料を中心とした大規模一極集中型から、地域特性に応じた小規模分散型の電力供給システムへの移行の検討および早期実施を図ること。
8.原子力発電コストについて、放射性廃棄物処分や補償にかかる費用なども含めた適正な試算を行うと共に、発電源別のコスト比較に当たってはその算定根拠の公開をすること。
9.発電源に関する適正な情報公開のもとで、消費者が再生可能エネルギー電力を容易に購入できる環境整備を行うこと。
10.エネルギー問題について、国民に分かりやすく情報が公開され、国民がエネルギー政策形成の過程に積極的に参加できる仕組みづくりを行うこと。

以上