プレスリリース

2025.11.20

食料・農業・地域を守る農政への転換を求め政府に要請

2024年の夏より、主食の米が店頭などから姿を消す事態が長期化し、国民に食料の安定供給への不安が広がっています。政府は、米不足の責任を生産者や流通業者に転嫁する一方、高止まりした米価を下落させるために、それまでの方針を大転換して備蓄米を5㌔2,000円で放出しました。

こうした政策の迷走は、米流通の現場に混乱と不公平をもたらし、生産者に米価暴落への不安を、消費者には物価高騰と安定供給への不安を抱かせるものです。

米不足の根底には、担い手の急速な減少と高齢化、耕作放棄地の広がりなど、日本農業の深刻な危機があります。異常気象や戦禍が相次ぐ世界で「お金を出せば輸入できる」ことを前提にした食料政策はもう通用しません。

私たちは、不安定な輸入に依存した食料政策を改め、今こそ国産食料の増産と、それを支える大多数の家族農業経営を支援する農政に転換するべきと考えます。

以上の趣旨から私たちは、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連※)が呼び掛ける下記の「政府への要請」に賛同し、食料・農業・地域を守る農政への転換を求めて協同して取り組みます。


政府への要請

1.国民の主食である米の生産と供給に政府が責任を持つこと。具体的には、
1)減産の押し付けをやめ、ゆとりのある生産目標を立て、大胆な増産に乗り出すこと
2)十分な量の政府備蓄米を確保して不作などに備えること
3)生産者の減少を食い止めるため、「価格保障」や「所得補償」で家族農業経営を支え、消費者には手頃な価格で米を供給すること

2.良質な食料が安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる環境を保障するため、輸入依存の食料政策を改め、食料自給率の向上を図ること。とりわけ、改定「食料・農業・農村基本計画」に明記された自給率目標(カロリーベースで2030年に45%)を必ず達成するための計画をただちに具体化し、農政の重点に据えること

3.農産物を貿易交渉の取引材料にしないこと。ミニマムアクセス(MA)米は即刻見直し、中止すること

4.物価高騰で苦しむ人々を支えるため、「食料支援制度」を確立すること

5.学校給食の無償化を速やかに全ての自治体で実施するよう支援すること。また地元産の安全な農畜産物・食品を活用する施策を拡充・強化すること

内閣総理大臣 高市 早苗 様
農林水産大臣 鈴木 憲和 様

以上

※国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)について

「食糧と健康を守れ」「それを支える地域農業を守れ」という国民要求の実現のため、労働者・消費者・農民・中小業者などが各地で共同して進める運動の全国的な連絡組織。1990年3月に発足し、現在43都道府県、約40の地域食健連が連携して毎年「グリーン・ウエーブ(食糧の波)」行動を展開しています。食の安全確保や食料自給率向上など政策要求の実現に向けたシンポジウムや学習会、署名や宣伝行動などで共同するとともに、学校給食への国産食材の活用、食と農、地域経済に関わる人々の交流など、国産農畜水産物の生産と消費、流通・加工を拡大する運動を進めています。

東都生協は全国食健連の発足当初より、農産物輸入自由化への反対や食料自給率の向上、遺伝子組換え作物・食品反対、食の安全確保への要請など、食と農を守る活動で連帯してきました。