プレスリリース

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2023.09.14

ALPS処理水の海洋放出強行に強く抗議し、即時中止を求める意見書を政府に提出

東都生協は2023年9月14日、ALPS処理水の海洋放出強行に強く抗議し、即時中止を求める意見書を内閣総理大臣宛てに提出しました。

政府は2023年8月24日「関係者の確認なしにいかなる処分も行わない」とした漁業者との約束をほごにして、多核種除去設備・ALPS(アルプス)処理水の海洋放出を強行しました。

同意見書は、地元の農畜水産業者・製造者、自治体や消費者はもとより国内外の多くの反対や懸念を無視して強行したことへの強い抗議と、海洋放出の即時中止などを求める内容となっています。

甚大な環境汚染を引き起こした原発事故は今も収束せず、汚染水が増え続けています。農畜水産物の販売不振や価格低迷の継続など、国民の不安はいまだに解消されていません。環境や人体への不安を拭い切れない状況下でのALPS処理水の海洋放出は、被災地の復興へのこれまでの努力を無にするものとして断じて許されません。

また同意見書では政府に対して、民主的な合意形成手続きにより地元をはじめ関係者の理解が得られる処分方法を決定することを求め、ALPS処理水の処分に関する基本方針およびその前提となる廃炉方針についても再検討を要請しています。


提出した意見書の全文は以下の通りです。

東都生協が提出した意見書全文(PDFが開きます)
2023年9月14日

内閣総理大臣 岸田 文雄 様


東都生活協同組合
理事長 風間 与司治


ALPS処理水の海洋放出強行に強く抗議し、即時中止を求めます

私たち東都生活協同組合は、東京中心に25万余の組合員が、いのちとくらしを守るため、全国の農畜水産業者・製造者と共に持続可能な社会の実現に向けて活動する消費生活協同組合です。東京電力福島第1原子力発電所事故の直後から、私たちは事業と運動を通じて、被災地支援と食の安全・安心の確保、脱原発と省エネルギー・再生可能エネルギー推進に取り組んできました。

原発事故は12年半が経過した今も収束せず、高濃度の放射性物質を含む汚染水が増え続けています。史上最悪規模の原発事故により、すでに大量の放射性物質が放出され、環境が広範囲にわたって汚染されています。放射性物質の低減対策など被災地の努力にもかかわらず、農畜水産物の購入や価格低迷の継続など、国民の不安はいまだに解消されていません。

こうした中、政府は2023年8月24日、「関係者の確認なしにいかなる処分も行わない」とした漁業者との約束をほごにして、多核種除去設備・ALPS(アルプス)処理水の海洋放出を強行しました。地元の農畜水産業者・製造者、自治体や消費者はもとより国内外の多くの反対や懸念を無視して強行したことに私たちは強く抗議するとともに、海洋放出を直ちに中止するように求めます。また、海洋放出が中止されるまでの間にあっては、ALPS処理水に関する徹底した情報開示を行ってください。併せて、現在の規制基準への準拠を中立・公正な第三者機関が厳格に監視する体制の構築を求めます。

燃料デブリに触れた汚染水を処理したALPS処理水は、通常の原発排水とは根本的に異なります。ALPS処理水の約7割は、トリチウム以外の放射性物質が法定基準を超える濃度で残存する処理途上水です。海洋放出する前に二次処理を行い、これらの放射性核種も基準値以下にするとしていますが、タンク内の放射性物質は限定的にしか示されていません。また、30年以上の長期にわたる放出となるにもかかわらず、総合的な環境影響評価も実施されていません。汚染水の発生を止めない限り、際限なく放出が続けられることになります。

環境や人体への不安を拭い切れない状況下でのALPS処理水の海洋放出は、地元の農畜水産業者・製造者の暮らし、農林水産業をはじめ地域経済への影響も懸念され、復興へのこれまでの努力を無にするものとして断じて容認できません。政府は、専門家から提示されている「大型タンク貯留案」や「モルタル固化案」など、海洋放出を回避する処分方法についても、公の場で真剣に論議、検討してください。少なくとも、地元の農畜水産業者・製造者、自治体や消費者をはじめ国民的論議による民主的な合意形成を通じて、理解が得られる処分方法が決定されるべきです。

原発事故の収束の見通しも立たないまま、30年以上にわたる海洋放出だけが強行されるようなことはあってはなりません。政府は海洋放出を直ちに中止し、ALPS処理水の処分に関する基本方針およびその前提となる廃炉方針を再検討し、原発事故の収束に全力を尽くしてください。

以上

本件に関する連絡先:東都生協 総合企画室(TEL 03-5374-4806)

意見書全文(PDF)