プレスリリース

2014.08.15

政府に集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求める意見書を提出

東都生協は8月15日、安倍晋三内閣総理大臣に対し、以下のとおり憲法を無視した集団的自衛権行使を容認する閣議決定に抗議し、撤回を求める意見書を提出しました。意見書全文(PDF)

2014年8月15日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様


東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也



憲法を無視した集団的自衛権行使を容認する閣議決定に抗議し、撤回を求めます



私たちは、東京で23万余の組合員を組織する消費生活協同組合として、戦後69年が経過し戦争の記憶が薄れゆく中、戦争の悲惨さや核兵器の恐ろしさ、平和の尊さについて学び、次世代へと伝える取り組みを続けてきました。私たちは貴政権が進める集団的自衛権の行使容認の閣議決定について、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という憲法の大原則を逸脱し、国の在り方を覆すものとして強く反対する意見書を6月9日に内閣総理大臣に提出しました。

しかし7月1日、政府は多くの国民の反対や不安の声をよそに、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を強行しました。歴代政府は集団的自衛権の行使について、必要最小限度の範囲を超え「憲法上許されない」との公式見解を国会で重ねて示し、広く国民の間でも定着してきました。それを主権者国民にも国会にも諮らず、一内閣の判断で「海外で戦争できる国」へと改憲にも等しい憲法解釈変更を行うことは、立憲主義を根底から否定する暴挙であり強く抗議します。

政府は、「武力行使の新3要件」として、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される明白な危険がある場合」に武力行使ができるとして説明しています。しかし、何を「明白な危険」とするかは不明で、政府の判断次第でいつ、どこでも武力行使が可能な内容です。他国の戦争に巻き込まれ、武力行使が際限なく拡大する危険があることは明らかです。

政府は集団的自衛権の行使容認により「日本に戦争を仕掛けようという企みをくじく」と抑止効果を訴えています。しかし戦後日本は、戦争への痛切な反省に立った平和憲法があったからこそ、他国との戦争に巻き込まれず、1人の戦死者も出しませんでした。今回の決定は周辺国から批判を招き、東アジア地域の緊張の要因ともなっています。戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認を定め、恒久平和主義を宣言した平和憲法の基本理念を貫くことこそ、世界平和への貢献です。

貴政権は昨年12月、国民の知る権利を侵害し民主主義の根幹を揺るがす特定秘密保護法を強行採決で成立させました。4月には武器輸出を基本的に禁じた武器輸出三原則を撤廃し、武器輸出を認める防衛装備移転三原則を閣議決定しています。こうした流れで集団的自衛権行使容認の閣議決定に至ったことは、いのちとくらしに関わる重大事項について国民の知る権利を制限した上で、武力行使の根拠も不明のまま戦争への道を進んでしまう危険を含んでいます。

日本は戦後、平和憲法を宣言することで国際社会の中で平和国家としての信頼を積み上げてきました。武力行使によらず、対話による紛争解決を目指す日本だからこそ、独自の役割を果たすことができます。今回の不当な閣議決定に抗議し速やかな撤回を求めるとともに、この決定の基に自衛隊法をはじめ関連法の変更を画策することも断じて認めません。本日、私たちは平和への願いと不戦の誓いを新たにするとともに、以上のことをあらためて表明するものです。