安全な食生活のために、ここから始める 土づくりについて

健全で豊かな土で育った作物は健康で生命力が強く、農薬散布回数を減らしたり、異常気象下での収量減を食い止めたりできます。しかもそんな土地で作られた農作物は、品質も安全性も高いのが魅力。生産者にも消費者にも有益な健全な土づくりを、両者が協同してすすめる画期的な運動が、東都生協(コープ)が1987年に提唱した「土づくり宣言」運動でした。その翌年に提唱した「地域総合産直」では、一部の生産者(点)だけではなく、地域農業全体(面)を活性化させ地域丸ごと産直をめざしています。さらにこれらの取り組みは、「土づくり宣言21エコプラン」へと発展しています。

土づくりへの3つの取り組みとその歩み
東都生協土づくりのあゆみ

近代農業への警鐘でもあった「土づくり宣言」。

健全な農作物をつくるための基本は、自然の力を最大限に活用した地力の強い土地で育てること。高度経済成長以降、農産物輸入自由化や化学肥料中心へと傾いてゆく近代農業に対して、「安全な国産野菜を食べたい、作りたい」という気持ちのもと、農業の基本に立ち返るべく、生産者と消費者が手をとり協同したのが1987年の「土づくり宣言」運動でした。さらに、この運動に賛同した組合員が、日本の農家の自立を支援するために少しずつ資金を出し合う「土づくり基金」も同年にスタート。産地に低金利で貸し出され、現在のべ150件(6億円以上)が、堆肥場建設などに活用されています。

地域全体の復興・活性化をめざす「地域総合産直」。

わたしたち東都生協(コープ)は、生産者と消費者をつなぎ、本当に良い作物を永続的に消費者に届けていくためには、産地の一部の生産者(点)の努力に頼るのではなく、その地域全体の農業(面)を考えて支援をしてかなければならないと考えました。農村地域の振興があってはじめて、産直も将来にわたって展望が開ける。その考えが「土づくり宣言」の翌年、「地域総合産直」を生み出しました。

健康な作物を生み出す地力を維持するために、雑木林の落ち葉や家畜のふんを堆肥に還元したり、連作障害や病虫害を防ぐために、数種類の作物を順番に作る輪作をしたりしています。さらに、化学合成農薬の「空中散布」を全面禁止するなど地域の中で良い循環をつくりだしていくこと、そして地域全体の丸ごと産直で消費者とつながること、それが持続可能な農業と地域の活性化に結びつくと考え、行動しています。

地域総合産直モデル例    JAやさと

「産地総合産直」のモデル産地である茨城県の旧八郷町のJAやさと。以前は畜産と養蚕、たばこの栽培を行う農産地でしたが、東都生協(コープ)との産直が始まったことで、古くからの主たる農産物だけにこだわることなく、新たな作物の生産にチャレンジし始めました。その挑戦を支えたのが、畜産から出るふんの 堆肥への活用や、高齢者や女性の参加など地域全体での活動でした。現在は新たな農作物が増えたことで地域全体が活性化。安全でおいしい農作物が、組合員の豊かな食生活を支えてくれています。

茨城県のほぼ中央に位置する石岡市の八郷地区(旧八郷町)。総面積は153平方キロメートル、およそ東京23区の1・4の面積で、その半分が山林に覆われた田園風景が広がるところ。筑波山、足尾山、加波山、吾国山、難台山などの国定公園、県立自然公園が三方から包み込んでいます。

地域から地球へ。「土づくり宣言21エコプラン」

畑での土づくりから、地域農業の活性化へとすすめてきた今、東都生協(コープ)は農業をとおして地球環境を見つめています。農業・自然環境・人々のくらしの3つが互いに支え合いながら、安全で質の高い農作物を、この地球上で永続的に生産していきたい。そんな思いを実現するために、2002年、東都生協は「土づくり宣言21 エコプラン」を提唱しました。

この「くらしと農業と環境の共生」をめざす取り組みは、生産者と消費者との産直のつながりをいっそう強めることをとおして、「日本農業の役割と重要性を再確認」し、「持続可能な農業を運営」し、「安全で豊かな食生活を見直す」運動です。
 
これに賛同し調印を行った産地は、2009年2月現在で75団体にもおよび、今もなお、この輪は広がり続けています。これらの産地では、独自にアクションプログラムを作成。それぞれのプログラムに基づき、持続可能な環境保全型農業に積極的に取り組んでいます