プレスリリース

報道各位
2016.02.16

高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に反対する意見書を提出

関西電力は1月29日、高浜原発3号機の再稼働を強行しました。福島第1原発事故では5年がたとうとする今も原因究明や責任追及はおろか、事故収束の見通しすら立たず、10万人もの人々が避難生活を強いられています。環境や食品への放射能汚染は、依然として生産と消費の現場に甚大な影響を与え続けています。

政府は2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、原発の再稼動、輸出に向けた動きを加速させています。原発ゼロが電力供給に影響しないことも明らかな中、国民のいのちとくらしを守る対策が不十分で、核のごみの問題や責任体制もあいまいにしたまま再稼働を強行することは、決して許されるものではありません。東都生協は2月15日、大多数の国民、地元住民の声を無視した今回の再稼動に対して強く抗議するとともに、原発依存からの脱却と持続可能なエネルギー政策の確立を求める意見書を政府に提出しました。意見書全文(PDF)

2016年2月15日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
経済産業大臣 林  幹雄 様

東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也



高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に抗議します



私たち東都生活協同組合は、東京中心に23万余の組合員が、いのちとくらしを守るため、全国の生産者と共に持続可能な社会に向けて活動する消費生活協同組合です。私たちは東日本大震災に伴う福島第1原発事故の直後から、被災地支援と食の安心確保、原発依存からの脱却と再生可能エネルギー推進に向けて取り組んできました。

関西電力は1月29日に高浜原発3号機(福井県高浜町)の再稼働を強行しました。再稼働は、東京電力福島第1原発事故を受けて原子力規制委員会が定めた新規制基準の下では、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続く3基目となります。私たちは、福島第1原発事故の教訓を生かさず、再稼働に反対する大多数の国民、地元住民の声を無視した再稼動に対して強く抗議します。

高浜原発3号機は、新規制基準下での再稼働では初めての、使用済み燃料を再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電となります。MOX燃料は通常のウラン燃料に比べ、原子炉で核分裂反応を停止させる制御棒が利きにくく、使用済みMOX燃料は冷却に100年近くかかるなどの問題が指摘されています。また、高浜原発の周辺には廃炉中を含め15基の原子炉が集中しているにもかかわらず、災害などで複数の原発が同時に事故を起こす危険性は審査の対象にもしていません。

避難計画が義務付けられた30キロ圏には福井、京都、滋賀の3府県12市町が入り、約18万人 が暮らしていますが、周辺自治体への十分な説明がなされていません。重大事故が起きれば直ちに避難が必要な5キロ圏に全国で唯一、2府県が入ります。福井、京都、兵庫、徳島へ避難する計画を政府は了承していますが、訓練は一度も実施されず、実効性は検証されないままです。高浜原発の使用済み燃料プールに余裕はなく、使用済み核燃料の再処理で発生する「核のごみ」の最終処分の見通しも立たないなど、今回の再稼働は重要な課題を次世代に先送りするものです。

福島第1原発事故では、5年がたとうとする今も原因究明や責任追及はおろか、事故収束の見通しすら立っていません。環境や食品への放射能汚染は、依然として生産と消費の現場に甚大な影響を与え続けています。貴政権は、国民のいのちとくらしを守る対策も不十分なまま、原発の再稼動、輸出に向けた動きを加速させています。原発ゼロが電力供給に影響しないことも明らかな中で、原発の再稼働を強行することは、決して容認できるものではありません。私たちは、一日も早く原発依存から脱却し、再生可能エネルギーの拡大と省エネによる低エネルギー社会を実現するため、持続可能なエネルギー政策を、国民的な議論を踏まえて確立していくことを求めます。

以 上