プレスリリース

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2015.09.29

安全保障関連法案の参議院での強行採決に強く抗議します

多くの国民が反対する中、政府・与党などは9月19日、参議院本会議でも安全保障関連法を強行採決し、可決・成立させました。
国会審議を通じて同法が憲法違反であることが明らかになり、政府が同法の必要性や合憲性の根拠として説明してきたことが全て崩れ去る中、政府・与党などが立憲主義と国民主権を公然と無視した独裁的な手法で同法を可決・成立させたことに対して、東都生協は9月29日、強く抗議するとともに直ちに廃止することを求める意見書を安倍晋三内閣総理大臣に提出しました。意見書全文(PDF)

2015年9月29日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様


東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也



安全保障関連法案の参議院での強行採決に強く抗議します



私たち東都生活協同組合は、東京を中心に23万余の組合員がいのちとくらしを守るため、よりよいくらしと平和な世界の実現を目指して活動する消費生活協同組合です。私たちはこれまで、貴政権が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定してから、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案の衆議院本会議での強行採決に到るまで、繰り返し抗議するとともに撤回・廃案を求めてきました。9月19日、多くの国民が反対する中、政府・与党などが安全保障関連法を参議院本会議で強行採決によって可決・成立させたことに、私たちはあらためて強く抗議するとともに、同法を直ちに廃止することを求めます。

これまで歴代政府は、「集団的自衛権の行使は憲法第9条の枠を超え憲法上許されない」との解釈を、国会審議を通じて積み重ねてきました。衆議院憲法審査会では、与党推薦の参考人の憲法学者を含めた全員が安全保障関連法は違憲との認識を表明し、中央公聴会でも元最高裁判事や元内閣法制局長官が同法を違憲と断じているほか、数多くの憲法学者や学識・経験者、元最高裁長官などの専門家も同法が憲法違反であるとの見解を示しています。

同法は、日本が直接攻撃を受けていないにもかかわらず他国の戦争に参戦し、戦闘地域での弾薬・武器提供などの後方支援を可能とするものです。世界に向けて恒久平和主義、不戦を誓った憲法と憲法第9条の趣旨に明確に反するばかりか、日本が敵となる相手国による報復・テロの対象になる危険を一気に高めるものです。武力行使の「新三要件」も、時の政府に判断を一任するものであり、特定秘密保護法の下で、重要な情報が国会や国民に開示されないまま、政府の判断次第で国民が戦争に際限なく巻き込まれる危険性があります。

貴政権が集団的自衛権行使の代表例とした「ホルムズ海峡での機雷掃海」「邦人輸送の米艦防護」、また本来個別的自衛権の問題であるはずの「日本周辺諸国の脅威」などの論拠は、国会審議を通じて事実上撤回に追い込まれました。また「砂川事件判決」「1972年政府見解」を安全保障関連法の合憲性の根拠としたことについても論理的な破綻が指摘されるなど、同法の必要性や正当性、合憲性の根拠はことごとく崩れ去っています。

安全保障関連法についての世論調査では、半数以上が同法案に対して反対しており、7割以上が国会での審議が尽くされていない、もしくは政府の国民に対する説明が十分でないと答えています。またこの間、連日のように国会周辺や全国各地で抗議行動が行われ、これまで政治に無関心と思われてきた学生や子育て中の母親も参加をし、幅広い国民が同法への反対の意思を示して行動しています。戦後70年積み重ねてきた平和憲法の理念を一政権の閣議決定で覆し、多くの国民の反対を押し切って違憲立法を強行採決で可決・成立させる、こうした立憲主義と国民主権を公然と無視した貴政権の手法は、事実上の独裁にほかなりません。

戦後70年間、日本は武力により一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出すことはありませんでした。これは、平和憲法と平和を願う国民世論と運動があったからこそといえます。日本が過去に行った植民地支配と侵略戦争への痛切な反省に立ち、戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認を定め、恒久平和主義を宣言した平和憲法の基本理念を貫くことこそ、世界平和への貢献にほかなりません。世界各地での紛争などによる緊張に対しては、武力や抑止力による解決ではなく、国際的なルールに沿って対話を通じた平和的な手段をもって解決していくべきものと考えます。

以 上