プレスリリース

報道各位
2015.07.27

安全保障関連法案の衆議院強行採決に抗議し廃案を求める意見書を提出しました

政府・与党は「国際平和支援法」「平和安全法制整備法案」の2つの法案を、7月15日衆議院特別委員会で強行採決し、翌7月16日に衆議院本会議でも強行採決しました。

東都生協は7月27日、本法案が憲法第9条と恒久平和主義、平和的生存権を定めた憲法の趣旨に反し、歴代政権が積み重ねてきた憲法解釈を一内閣の恣意によって変更して立法措置を行うことは、立憲主義、国民主権を根底から否定するものとして、今回の強行採決に強く抗議し、速やかに撤回、廃案とすることを求める意見書を安倍晋三内閣総理大臣に提出しました。意見書全文(PDF)

2015年7月27日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様


東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也



安全保障関連法案の強行採決に強く抗議し、廃案とすることを求めます



私たち東都生活協同組合は、東京を中心に23万余の組合員が、いのちとくらしを守るため、よりよいくらしと平和な世界の実現を目指して活動する消費生活協同組合です。

政府・与党は7月15日の衆議院特別委員会および翌7月16日の衆議院本会議で、平和安全法制整備法案および国際平和支援法案(以下「本法案」という。)を強行採決しました。本法案は、自国が攻撃を受けていなくとも他国の戦争に加担する集団的自衛権の行使を可能とするものであり、憲法第9条と恒久平和主義、平和的生存権を定めた憲法の趣旨に反しています。また国民的議論を通じ歴代政権が積み重ねてきた憲法解釈を一内閣の恣意によって変更して立法措置を行うこと自体、立憲主義、国民主権を根底から否定するものです。私たちは本法案の強行採決に強く抗議するとともに、直ちに撤回・廃案とすることを求めます。

5月に衆議院・安保法制特別委員会で審議を開始して以来、政府が答弁を重ねるほど本法案の矛盾が明らかになっています。本法案はあらゆる事態への切れ目のない対処を掲げ、自衛隊の任務や行動を拡大し、米軍や他国軍の武力行使を支援するために、自衛隊を海外に随時派遣できるようにするものです。これは専守防衛から他国防衛への安全保障政策の大転換であり、戦争を放棄し武力による国際紛争の解決を禁じた憲法第9条の趣旨に反し、海外での武力行使に道を開くものにほかなりません。これまでの平和国家としての日本の在り方を根底から覆すものです。

武力行使の要件に関わる「存立危機事態」「重要影響事態」「国際平和共同対処事態」を認定する基準もあいまいで、時の政権の裁量に任されています。また、本法案の背景に「日本を取り巻く安全保障環境の根本的変容」を挙げていますが、具体的な根拠すら示していません。特定秘密保護法の施行により、国民と国会に必要な情報が開示されないまま武力行使に至る可能性もあります。同盟関係の強化による抑止力の向上も主張していますが、日本を攻撃していない相手国に対して、日本が武力行使に関与すれば、今度は相手国にとって日本が報復の対象となり、抑止どころか国民のいのちとくらしを危険にさらすことになります。

各種世論調査によれば、本法案の今国会での成立に反対する声は6割に達し、「法案の説明が不十分」との意見は8割を超えています。また、本法案に「反対」「廃案」もしくは「慎重審議」などを求める意見書を可決した地方議会は全国で300を超えているほか、数多くの憲法学者・法律専門家が本法案について違憲との見解を表明しています。衆議院特別委員会で安倍首相自らも「国民に十分な理解を得られていない」ことを認める中で、多くの国民の声を無視して国会議員の数の論理で本法案を強行採決したことは、民主主義の観点からも到底許されるものではありません。

当組合では、2014年6月9日付で憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する意見を、同8月15日には集団的自衛権行使を容認する閣議決定に抗議し、撤回を求める意見を提出し、2015年5月15日、本法案の国会上程に反対する意見を表明してきました。今回の本法案の強行採決は、憲法に幾重にも違反し、民意を踏みにじるものとして断じて許すわけにいきません。本法案は参議院での審議をせず、即刻撤回・廃案とすることを求めます。併せてこうした国の根幹に関わる重要な問題は、国民に情報を公開し、政府の考えを分かりやすく説明するなど、時間をかけて国民的な議論を尽くすことを求めます。

以 上