プレスリリース

2014.10.23

九州電力川内原子力発電所の再稼働に反対する意見書を提出

東都生協は10月23日、安倍晋三内閣総理大臣に対し、以下のとおり川内原発再稼動反対の意見書を提出しました。 意見書全文(PDF)

2014年10月23日

内閣総理大臣 安倍 晋三 様


東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也



九州電力川内原子力発電所の再稼働に反対します




 私たちは、東京で23万余の組合員を組織する消費生活協同組合です。 9月10日、原子力規制委員会は九州電力川内原子力発電所(鹿児島県)1・2号機について、新規制基準に適合しているとの審査書を決定しました。私たちは、消費者・組合員のいのちとくらしを守るために、再生可能エネルギーへの転換と原子力発電に依存しない持続可能な社会づくりに取り組む立場から、こうした決定の下で川内原発の再稼働を進めることに強く反対します。


 東京電力福島第一原発事故から3年半以上が過ぎた今なお、その事故原因が解明されていないばかりか、汚染水など事故収束の見通しすら立っていません。いまだ多くの福島県民が不自由な避難生活を余儀なくされ、生活再建の見通しも立たない状況にあります。放射性物質による環境や食品の汚染は、生産と消費の現場に依然として甚大な影響を与え続けています。こうした中で原発の再稼働を進めることは、とうてい納得できるものではありません。

 2013年9月に国内の原発施設が全て停止して以降、国民的な節電努力もあり、電力需給に大きな支障のない状況が続いています。原発について政府は「発電コストが低廉で昼夜を問わず安定的に稼働できるベースロード電源」としていますが、その維持管理や使用済み核燃料の保管・廃炉などを含めたコストは他の発電を上回るといわれています。いったん大事故が生じた場合には、取り返しのつかない被害を及ぼし、事故の収拾や賠償、除染などに莫大な費用を要します。再生可能エネルギーの拡大と低エネルギー社会の実現に向け、あらゆる手を尽くすべきです。

 新規制基準について政府は「世界最高水準」としていますが、その内容は対策が新規制基準に適合するかどうかの審査にすぎず、「安全」を保証するものではないことは、これまでも原子力規制委員会が繰り返し表明している通りです。専門家からは、すでに技術面や火山噴火などでの対策の甘さが指摘されているほか、住民の生命に関わる避難計画は審査対象にもしておらず、自治体任せにしています。福島第一原発事故の教訓を踏まえるならば、まず何よりも国民の生命と財産を守る対策が最優先されるべきです。

 現行の制度では、電力会社が地元自治体の同意を得れば再稼働を強行できるものとなっており、重大事故が起きた際の責任の所在も曖昧なまま住民の合意もなく、なし崩し的に原発再稼働へと進むことは重大な問題です。政府と電力会社主導のエネルギー政策が、人類史上最悪規模の福島第一原発事故という取り返しのつかない事態に帰結しました。今後同様の事故を繰り返すことは決して許されません。一日も早く原発依存から脱却し、持続可能な社会に転換していくため、国民的な議論を踏まえて日本のエネルギー政策を確立していくことを求めます。

以上