食の未来を一緒に創っていきませんか
 気候変動やバイオエタノール需要、新興国の発展などで世界の食料需給が逼迫し、食料の奪い合いが起きるなど、食をめぐる環境は決して楽観できるものではありません。この厳しい情勢を乗り切るために、私たち消費者は「ほしい物が安く手に入ればよい」という短期的な視点ではなく、未来を見据えて主体的・積極的に食の確保や食生活づくりに関わっていく必要があるのではないでしょうか。
 東都生協(コープ)は設立以来、「産直」を「生産・流通・消費のあり方を問い直す運動」としてとらえ、生産者と消費者が対等の立場に立って、食とくらしに関する新しい価値を創造する取り組みを行ってきました。生産の現場である「農」と消費の現場である「食」をつなげる生協だからこそ、生産者と消費者が手を携えて、ともに食の未来を創っていくことができるのです。
 昨今の食をめぐる状況を踏まえて、食と農を事業と運動の基軸とする私たち東都生協は、これまでの土台を活かして、「食の未来づくり運動─いのちをつなぐ大切な食べものを未来につなげたい─」を提起しています。
生産者と消費者が近づき、お互いに支えあうことで
食への安心がうまれます
 日本の食料自給率はわずか41%(2008年概算)。これは主要先進国の中で際立って低い数値です。農業従事者も、耕地面積も減少し、生命のもととなる食料が国内では安定的に確保できない状況です。中国製冷凍餃子中毒事故などから、普段の食卓がいかに海外に依存しているかをあらためて認識した人も多いでしょう。この間起きている、輸入食品による中毒や食品偽装など食に対する不安や不信は、生産と消費の現場が離れて、お互いが見えなくなってきていることにも一因があります。食の安心のためには、まず生産と消費の現場を近づけること、そして何か障害があるならば、両者でそれを解決するという姿勢が大切です。そのことで、生産者は安心して作り続けることができ、消費者は安心して食べ続けることができるのではないでしょうか。
環境に優しい農業の確立と
持続可能な消費者本位の社会をめざして
 環境問題に解決策を見出さなければ、私たちの未来はありません。食との関係でもフードマイレージという言葉があるように、遠くから運んできては、その分貴重な地球の資源を使うことになってしまいます。農業の現場でも、将来にわたり持続可能な循環型の農業の確立が望まれます。
 私たちが求める社会は、大量生産・大量消費、効率優先という企業本位のものではなく、生産や流通のしくみがよくわかり、持続可能な社会を求める消費者本位の、安全で品質がよく、環境に配慮した食の生産が正当に評価されるような社会です。そのような社会の構築のためには、消費者自身があふれる情報に左右されることなく、自らが情報を選択し、消費行動を行うという主体性が求められます。
 私たち一人ひとりの消費行動・選択が大きなうねりとなり、社会を変えていく力になるのではないでしょうか。

●主要先進国の食料自給率:食料自給率が減少しているのは日本だけ!

●日本の農業就業人数の推移:38年で就業者数が3分の1に!